Classical Swine Fever

豚熱 選択的殺処分 一問一答

特定家畜伝染病に指定された重要疾病の概要と発生状況

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選択的殺処分に関する一問一答

豚熱(CSF)の選択的殺処分について、農林水産省が公表している一問一答を掲載しています。

出典:農林水産省「豚熱の選択的殺処分に関する一問一答集(Ver1.1)」

令和8年5月19日作成/令和8年8月31日一部改正

1.総論

1-1 選択的殺処分とは何か。

令和8年5月の家畜伝染病予防法(以下「法」という。)の改正により、ワクチン接種区域に所在する農場で飼養される豚熱の疑似患畜は、それまでの全頭と殺から、「まん延を防止するため」殺処分が必要と考えられる場合に限定して都道府県知事が殺処分命令を行ったもののみ殺処分されること(選択的殺処分)に変わりました。

選択的殺処分では、他の農場への伝播リスクとなり得る豚等(飼養豚及び飼養イノシシをいいます。以下同じ。)を選択的に殺処分し、畜舎等の消毒によりウイルスを除去するとともに、殺処分の対象とならず、引き続き飼養される豚等について、一定期間のリスク管理措置(監視プログラム)により管理し、その期間で農場の清浄化を図ることとなります。

1-2 生産者が経営判断で自由に殺処分する豚等を選択できるのか。あるいは、全頭殺処分を選択することができるのか。

選択的殺処分は、都道府県知事の命令により、法的強制力をもって実施されるものであるため、その範囲はまん延防止のために殺処分の実施が必要かどうかという観点から、限定的に選択される必要があります。

また、殺処分は、豚熱のまん延防止という公益上の目的から実施するものであって、発生農場のためだけに実施するものではありません。

このため、生産者が自らの経営判断で自由に殺処分する豚等を選ぶことや全頭殺処分を選択することはできません。

なお、殺処分の範囲は、都道府県が農林水産省と協議の上決定します。

1-3 なぜ選択的殺処分の導入を検討したのか。

豚熱は伝播力が非常に強い疾病であり、その発生時にはワクチン接種の有無にかかわらず、まん延防止に万全を期すため、これまで、全頭殺処分を行ってきたところです。

一方で、全頭殺処分は発生農場の経営に与える経済的な影響だけでなく、都道府県を含む殺処分を実施する関係者にとって大きな人的・精神的・財政的負担が生じます。

このため、農林水産省としては、中長期的な対策の継続が必要となる豚熱の清浄化を目指す過程において、発生農場の経営への影響や現場で生じる様々な負担の軽減とまん延防止の徹底を両立(ただし、まん延防止の徹底が優先。)させることが必要と考え、選択的殺処分の導入について検討することとしました。

1-4 何を根拠に選択的殺処分を導入することとしたのか。

農林水産省では、ワクチン接種農場におけるこれまでの豚熱発生事例についてリアルタイムPCR などを活用してデータを収集、分析してきました。

こうした知見を基に、令和7年5月以降、家畜衛生の専門家等から構成される食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会や同部会牛豚等疾病小委員会において、ワクチン接種農場における豚熱発生時の殺処分範囲の見直しについて議論いただきました。

その結果、① 適切なワクチン接種により免疫が獲得できており、② 移動制限等リスク管理措置が講じられている場合には、必ずしも全頭殺処分を行わずとも、まん延防止が可能との結論に至りました。

こうしたことから、令和8年5月の法改正を経て、選択的殺処分を導入することとしました。

1-5 今までの全頭殺処分による対応は誤りだったのか。

豚熱は、非常に強い伝播力と高い致死率を特徴とした疾病です。

以前から、現在使用している豚熱ワクチンは極めて有効かつ安全性の高いワクチンとして知られてきましたが、これまでは、① ワクチン接種が未実施、あるいは、接種開始から間もなく、全てのワクチンを接種した豚等に免疫を確実に付与できない地域が存在している状況や、② 豚熱が継続的に発生する中、接種農場におけるワクチンの効果が必ずしも明らかでない状況にあったため、全頭殺処分が発生農場においてまん延防止を図る最善の方法であったと考えています。

なお、令和8年5月現在、① 北海道を除く全ての都道府県おいてワクチン接種から少なくとも3年以上経過し、長期的なワクチン接種によっても免疫を安定的に付与できることが確認されてきたこと、② 科学的知見に基づく検討の結果、ワクチン接種農場においてワクチンに十分な効果があることが確認され、必ずしも全頭殺処分を行わずとも、まん延防止が可能との専門家の結論を得たことから、選択的殺処分の導入が可能となりました。

1-6 ワクチンが非常に有効ということであれば、生産農場にとって負担が大きいので、飼養衛生管理の徹底にはそこまで注力しなくてよいということか。

今回、これまでのワクチン接種農場における発生事例において、ワクチンの効果が改めて確認されました。ワクチンはあくまでも適切に接種されれば感染を防御することができる一方、当然ですが、豚熱ウイルスの農場への侵入を防ぐものではありません。また、適切にワクチンを接種した農場であっても接種前後の時期の子豚はウイルスに感染しやすい状態です。

このため、生産農場においては、引き続き、農場や畜舎に豚熱ウイルスを侵入させないための飼養衛生管理の徹底が重要であることに変わりはありません。

また、国際機関(WOAH)の定める豚熱の清浄化ステータス獲得のためには、少なくとも12 か月間、飼養豚での豚熱の発生がないことが求められることから、適時適切なワクチン接種と飼養衛生管理の徹底の両輪により、豚熱対策を進めていくことが非常に重要です。

飼養衛生管理の徹底は豚熱以外の感染症対策としても重要であり、農家の経営の助けとなります。

1-7 全頭殺処分をやめるということは、豚熱の清浄化を諦めたということか。

今回の選択的殺処分の導入は、科学的知見に基づく検討の結果、ワクチン接種農場においてワクチンに十分な効果があることが確認され、必ずしも全頭殺処分を行わずとも、まん延防止が可能との専門家の結論を得たことによるものであり、清浄化を進める方針と直接関係するものではありません。

また、清浄化が一定程度進展した場合には、全頭殺処分に戻していくものと考えています。これは、国際基準であるWOAH コードにおいて、① 疾病の清浄化が間近な場合においては全頭殺処分が望ましい手法である② WOAH(国際獣疫事務局)の豚熱清浄国ステータス取得後に豚熱が再発した場合において、早期に清浄国に復帰するためには全頭殺処分を行う必要があるとされていることによります。

なお、農林水産省では、最終的には「我が国からの豚熱のウイルスの撲滅」を目指しつつ、2050 年頃の「飼養豚での清浄性について、WOAH の豚熱清浄国ステータスの取得」を当面の目標とする「豚熱清浄化ロードマップ(参考)」を令和6年6月に策定・公表しております。(参考)豚熱清浄化ロードマップhttps://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/attach/pdf/index-463.pdfhttps://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/attach/pdf/index-462.pdf

1-8 選択的殺処分を導入して本当に大丈夫なのか。他の農場等にウイルスが伝播してしまうのではないか。

選択的殺処分の導入に当たり、これまでに得られたデータを踏まえれば、ワクチンに十分な効果があることが確認され、適切なワクチン接種により免疫を獲得した症状のない豚等を残しておいても一定の管理を行うことにより、まん延リスクにはならないとの専門家の結論を得ており、選択的殺処分導入後も、発生農場における他の農場へのウイルスの伝播リスクは、全頭殺処分と比較しても変わりません。

選択的殺処分を適切に実施するためには、国と都道府県が緊密に連携するとともに、必要に応じて専門家や管理獣医師等の助言も得ながら、まん延リスクとなる豚等を的確に摘発し、発生農場における監視が適切に行われることが重要です。

1-9 殺処分の対象から除外された豚等の中に、症状を示していない感染した豚等が存在する可能性があるが、全頭遺伝子検出検査(PCR 検査)を実施して摘発しなくてよいのか。

選択的殺処分の導入に当たっては、科学的見地から十分に議論を重ねた上で、適切なワクチン接種により免疫を獲得した豚熱感染を疑う症状が認められない豚等は、移動制限等の一定のリスク管理措置を講じることにより、まん延リスクにならないとの結論を得たところです。

例えば、動衛研で実施した感染実験の結果からは、症状を呈さない豚等の体内から豚熱ウイルス遺伝子がごくわずかに検出される例があるものの、他の豚等にウイルスを伝播するリスクがないことが明らかとなっています。

全頭殺処分と異なり、選択的殺処分では、他の農場等への伝播リスクとなり得る豚等のみを殺処分対象を限定しますので、このような懸念のない、豚熱感染を疑う症状の確認されない豚等に対してはPCR 検査を行う必要はありません。

1-10 発生農場としては監視プログラム適用中であってもと畜場への出荷が可能になるのは良いことだが、風評等、出荷先で不利益を被らないか心配。

監視プログラム適用期間中のと畜場への豚等の出荷については、出荷前に農場において出荷させようとする豚等の異状の有無の確認を徹底いただいた上で、家畜保健衛生所から許可を得て行われます。

臨床上異状が認められない豚等は、まん延リスクにならないとの専門家の結論が得られていることを踏まえれば、適切な手続きを経て出荷・と畜される豚等を介して、他の農場等へまん延するリスクありません。

このため、と畜場は、監視プログラム適用農場であることという理由だけで当該農場からの出荷を拒むことはできません。

農林水産省としては、こうしたことについて、都道府県をはじめとする関係者と連携しながら丁寧に情報提供を行い、監視プログラム適用農場が風評等により不利な扱いを受けることがないよう、促していきます。

1-11 防疫指針やQ&A など、細かいことがたくさん記載されているが、生産者が選択的殺処分の導入に当たり実施しなければならないことは何なのか。

生産者をはじめ、発生時の防疫対応の役割分担は全頭殺処分のときと同じです。このため、発生時には、家畜防疫員の指示に従って対応いただくこととなります。

生産者の方には、発生時に円滑に殺処分や消毒の範囲を決定できるよう、日ごろから家畜保健衛生所と連携を密にしていただくとともに、ワクチン接種日やピッグフロー等の飼養衛生管理に関する基本的な情報を速やかに家畜保健衛生所に提供できるような体制を整えてください。

全頭殺処分と異なり、選択的殺処分においては、(まん延防止が原則であるため自由に殺処分範囲を決めることはできませんが)豚熱を疑う症状の確認や、殺処分範囲の決定のため、日ごろから豚等の健康観察を行い、最も日常を知る生産者からの飼養状況等に係る情報が重要となります。

このため、具体的にあらかじめ実施すべきことは多くなくても、選択的殺処分導入の背景や家畜防疫員が実施することに対する知見を得ることは重要だと考えます。

また、選択的殺処分では、発生後も豚の飼養が継続されます。飼料配送業者を含め、農場への入退場や作業動線をどのように設定していくか事前に想定しておくとともに、可能であれば家畜保健衛生所とも相談しておいてください。

1-12 北海道では選択的殺処分を導入できないのか。

選択的殺処分は、ワクチン接種を前提として導入するものであり、ワクチン非接種区域である北海道において、選択的殺処分を導入することはできません。

ワクチン接種は、野生イノシシにおける豚熱感染が継続的に確認される場合等、衛生管理の徹底のみによっては、豚等における感染の防止が困難と認められる場合にその実施が認められるものです。

北海道においては、野生イノシシが分布していないことから、現時点においてワクチン接種を実施する必要性は低いと考えています。

なお、仮に予防的ワクチン接種を行った場合、接種に要する費用や労力等が必要となるだけでなく、豚肉製品等の輸出が不可能になる(国内で輸出が可能となる地域が存在しなくなる)など、必ずしもメリットだけではないことに注意が必要です。

1-13 選択的殺処分を導入したことに伴い、殺処分を除外された豚等を介して豚熱ウイルスが北海道に侵入することはないのか。

ワクチン接種区域において豚熱が発生した場合、殺処分対象から除外された豚等は、臨床症状がないことが確認されるなど、一定の条件を満たせばと畜場への出荷が可能となりますが、出荷できると畜場はワクチン接種区域内に限られます。

また、と畜場への出荷に限らず、監視プログラムに基づく移動制限の対象外として監視プログラム適用農場から移動が認められた全ての物品等についても、移動が可能な範囲はワクチン接種区域内に限られ、北海道に持ち込まれることはありません。

なお、これまでは、一定の条件を満たした場合、ワクチン接種農場(非発生農場)からワクチン非接種区域のと畜場に豚等を出荷することができましたが、① 野生イノシシが分布する全ての都道府県がワクチン接種区域になって2年半が経過し、ワクチン非接種区域が北海道のみになったこと、②直近でワクチン接種農場からワクチン非接種区域のと畜場への豚等の出荷実績がないことを踏まえ、今回の防疫指針等の改正により、発生農場か否かにかかわらず、ワクチン接種農場からのと畜場への豚等の出荷は原則としてワクチン接種区域に限るものとする改正を行いました。2.患畜、疑似患畜及び疫学関連家畜について

2.患畜、疑似患畜及び疫学関連家畜について

2-1 選択的殺処分の導入に伴い、患畜や疑似患畜の判定はどう変わるのか。

今回、選択的殺処分を導入するのは、これまでの発生事例の分析の結果、ワクチンに十分な効果があるという知見が得られたことなどによるものであり、豚熱という病気の性質そのものが変わったわけではないため、患畜や疑似患畜の定義に変更はありません。

具体的には、豚熱の疑似患畜は、法第2条第2項に規定されているように、① 患畜(豚熱にかかっている豚等をいいます。)である疑いがある家畜又は② 豚熱の病原体に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいい、防疫指針において、具体的な患畜及び疑似患畜の判定基準を定めていますが、これらに変更はありません。

一方で、今般の法改正により、ワクチン接種区域における豚熱の疑似患畜は法第17 条に基づく殺処分の対象となりましたので、疑似患畜であっても、直ちに必ずしもその全てを殺処分対象とする必要はなくなりました。このため、一旦疑似患畜と判定されたとしても、その後の追加検査等により患畜である疑いや患畜となるおそれがないと判断できる豚等については、疑似患畜から除外できることとなりました(全ての患畜は、従前のとおり、法第16 条に基づき直ちにと殺しなければなりません。)。

2-2 なぜ農場内の全ての豚等が疑似患畜と判定されるのか。

患畜が確認された時点では、ワクチンの接種など、農場内の状況が不明であるため、同一農場で飼養されている豚等については、病原体に触れた疑いがある豚等として、一旦全て疑似患畜と判定することとしています。

2-3 殺処分されない疑似患畜は終生疑似患畜のままなのか。

殺処分されない豚等は、防疫指針に基づき、拡散状況確認検査において、臨床検査等を受けることとなります。

拡散状況確認検査において陰性が確認された豚等(疑似患畜)は、臨床上異状がなく、ワクチンによる免疫が成立している可能性が高いと判断できることから、豚熱ウイルスに触れた疑い自体は否定できないものの、患畜である疑いや、患畜となるおそれはないと考えられるため、陰性が確認された段階で疑似患畜から除外されることとなります。

2-4 発生農場と同一の飼養管理者が別の農場の豚等の飼養管理を行っている場合、別の農場の豚等も疑似患畜となるのか。

防疫指針における疑似患畜の判断基準として、発生農場において、患畜等の病性等判定日から遡って10 日目から患畜が確認されるまでの間に豚等の飼養管理に直接携わっていた者がその飼養管理を行って以降に直接の飼養管理を行った他の農場において飼養されている豚等は疑似患畜とする旨が記載されています。

このため、発生農場と同一の飼養管理者が病性等判定日から遡って10 日以内に直接の飼養管理を行った農場の豚等については、原則として全て疑似患畜となります。

一方、当該疑似患畜のうち、殺処分の対象から除外され、かつ、拡散状況確認検査で陰性が確認されたものについては、疑似患畜から除外されることになります。

2-5 疫学関連家畜の定義も変わらないのか。

疫学関連家畜は、疑似患畜とは判定されないものの、発生農場と疫学的な関連がある家畜のことをいうため、選択的殺処分の導入の有無にかかわらず、その定義は変わりません。

このため、選択的殺処分が導入されない北海道では従前どおり交差汚染等により疫学的な関連が生じた日から28 日間の移動制限等の措置が講じられることとなりますが、都道府県においては、選択的殺処分の導入に伴い、疫学関連家畜の飼養農場について、発生農場と同様、監視プログラムの適用を受けることとなります。

2-6 発生農場からワクチン接種後20 日経過済みの肥育豚を肥育農場に移動するピッグフローで、発生農場から肥育農場に移動させた豚等は拡散状況確認検査で殺処分対象となった豚等を含めて殺処分範囲決定後の疑似患畜と一切接触していないほか、人・物品の移動状況や消毒の実施状況からウイルスに触れたおそれはないと考える場合に、当該移動させた豚等や、移動先の肥育農場の飼養豚を防疫指針における疫学関連家畜と指定せず、当該農場を疫学関連家畜飼養農場に指定しないという対応が可能か。

防疫指針第12 における疫学関連家畜は、ウイルスに汚染されたおそれのある豚等であって、病性等判定日から遡って28 日以内に患畜等と接触しているなど、防疫指針第12 の1(2)の①から④までに該当するものとなります。

このため、この問で想定している場合においては、想定の条件に加えて、発生農場で異常豚の届出がなされた際に実施する過去28 日間の豚等の移動履歴等に係る疫学情報の収集(防疫指針第4の3(2)に定めるものをいいます。)の結果、防疫指針第12 の1(2)①から④までに該当せず、ウイルスに汚染されたおそれのある豚等でないと判断できる場合には、当該移動させようとする豚等や移動先農場の飼養豚は疫学関連家畜に該当せず、移動先農場も疫学関連家畜飼養農場には該当しないと判断し、監視プログラムの対象外とすることが可能です。

一方、疫学情報や発生農場・移動先農場の飼養状況から少しでもウイルスに汚染したおそれのある豚等と判断できる場合には、躊躇なく疫学関連家畜の指定や移動先農場の監視プログラムの適用を検討してください。

この場合に限らず、疑似患畜や疫学関連家畜の判断については、防疫指針に基づき適切に実施するとともに、不明点等があれば速やかに動物衛生課に相談してください。3.殺処分の範囲について

3.殺処分の範囲について

3-1 殺処分の範囲は誰がどのように決定するのか。

法第17 条に基づき、殺処分命令は都道府県知事が行うものであることから、その範囲は、都道府県が、防疫指針等に定められた殺処分を命じるべき豚等の考え方を踏まえつつ、農林水産省(動物衛生課)と協議の上、決定します。

生産者の同意が必要となる決定ではありませんが、殺処分の範囲を決定したときには、都道府県は、その理由等について、可能な限り丁寧に生産者に説明してください。

なお、患畜及び疑似患畜は、これらからの除外も含め、農林水産省が判定します。

3-2 選択的殺処分導入後、異常豚通報から患畜確定までの対応に何か変更点はあるのか。

異常豚通報から患畜確定までの対応は従前のとおりであり、変更点はありません。

3-3 どのような豚等に対して殺処分命令が出されるのか。

殺処分命令が行われるべき豚等の考え方は以下のとおりであり、他の農場等への伝播リスクとなり得る豚等が該当します。① ワクチンによる免疫が成立していないとみなされる豚等・患畜の病性等判定日時点においてワクチンを接種していない豚等・ワクチンの初回接種後20 日を経過していない豚等・発育不良に陥っている豚等② 特定症状など、豚熱感染が疑われる症状を呈しており、遺伝子検出検査で陽性が確認された豚等(既に感染している豚等)③ その他家畜防疫員が豚熱のまん延防止のために殺処分が必要と判断した豚等

発生農場において、1の①の豚等を速やかに特定するため、陽性判定時に備えた準備として、都道府県は、あらかじめ異常豚通報を受けた農場の豚等の飼養状況やワクチン接種状況、豚等の畜舎間の移動状況等について速やかに把握し、農林水産省(動物衛生課)に報告する必要があります。

このため、各都道府県において、平時から管内の農場の豚等の飼養状況の把握に努めてください。

3-4 ワクチン未接種の豚等のうち、出生後間もない哺乳豚は繁殖豚から移行抗体を得ているため、ワクチン免疫が成立している豚等と同様に殺処分の対象から除外できないのか。

哺乳豚が繁殖豚から得る移行抗体は、時間の経過とともに減衰するものであり、繁殖豚の抗体レベルも個体ごとに異なることを踏まえると、哺乳豚の抗体付与状況をリアルタイムで把握することは現実的ではありません。

このため、防疫措置により農場内のウイルスを減少させるまでの間は、哺乳豚は、感染・発症し他の農場へのまん延リスクとなり得ることから、殺処分の対象としています。

3-5 平成4年以前に豚熱(旧豚コレラ)が発生していたときは発症豚のみを殺処分していたが、なぜ、今回の選択的殺処分ではなぜワクチン未接種の豚まで殺処分しなければならないのか。

平成4年以前の豚熱の発生と、平成30 年以降の発生の最大の違いは、豚熱に感染した野生イノシシが広く確認されているかどうかです。また、平成30 年度以降に国内で確認されているウイルスは中程度毒性のウイルスであり、不明瞭な症状を示しながら、長期間ウイルスを保持、排出するという要素もあります。

平成4年以前は、① 豚熱に感染した野生イノシシはほぼ確認されておらず、② 低いワクチン接種率やウイルスに汚染した飼料(食品残さ)を主な原因として豚熱が発生していたため、発症豚を殺処分した上で、改めて適切にワクチン接種を実施することが重要でした。

平成30 年以降の発生では、① 豚熱に感染した野生イノシシが継続的に確認されていること、② 全ての子豚に適切な時期にワクチン接種を行うことが困難であるとともに、接種後すぐに免疫が成立するわけではないことから、免疫が成立していない子豚を殺処分して、豚熱をまん延させないことが重要であるという違いがあります。

このため、今回の選択的殺処分では、発症し、かつPCR 陽性の豚等だけでなく、ワクチン免疫が成立していないと考えられる豚等についても殺処分を行い、ワクチン免疫が成立しているとみられる豚等のみ、飼養を継続できることとしています。

こうしたことから、発生農場においては、疫学調査の結果等を踏まえて飼養衛生管理の徹底・強化をし、続発の防止に努めていただくことが重要です。(継続的に豚等が飼養されるため、改善されなければ新規発生時と同じ原因で続発してしまうおそれがあります。)

3-6 ワクチン未接種の豚等や接種後20 日以内の豚等は必ず殺処分しなければならないのか。

ワクチン未接種の豚等や接種後20 日以内の豚は(移行抗体を保有していたとしても時間とともに減少していくため)、十分なワクチン免疫を有していないことから、豚熱に感染し、他の豚等に伝播させるリスクの高い豚等であると考えられます。

このため、特別な事情がない限り、これらの豚等に対して殺処分を行っていただく必要があります。

一方、同一農場内での続発時(監視プログラム適用農場において異常豚が確認され、PCR 検査陽性となった場合等)であって、衛生管理区域や畜舎等が分かれており、飼養管理者も別など、これらの豚等との隔離が徹底されている肥育豚等が殺処分対象となったときなど、まん延防止のために必ずしも殺処分が必要と認められない合理的な理由がある場合には、殺処分対象から除くことができます。

いずれにしても、殺処分の範囲は、都道府県が、農林水産省(動物衛生課)と協議の上、決定することとなります。

3-7 なぜ発育不良に陥っている豚等が殺処分対象となるのか。豚熱に感染しているとは限らないし、どんな農場でも一定数発生するものではないのか。

選択的殺処分における殺処分の対象は、「他の農場等への伝播リスクとなり得る豚等」であり、豚熱に実際に感染していることが条件ではありません。

発育不良に陥っている豚等は、患畜確認時点で豚熱に感染しているとは限りませんが、免疫機能が弱いことが想定され、ワクチンを接種しても免疫を獲得できない可能性があるため、豚熱に感染すると発症してウイルスを拡散し、他の農場への伝播リスクとなり得ることから、殺処分対象とすることが妥当だと考えています。

3-8 発育不良に陥っている豚等かどうかどのように判断されるのか。

発育不良に陥っている豚等とは、同一の農場において同様の日齢の豚等と比して、体重や体高の増加が明らかに遅れている豚等をいいます(留意事項74)。

その判断に当たっては、まん延防止に万全を期す観点から、少しでも疑わしい豚等がいた場合には躊躇なく殺処分することが必要です。

また、都道府県は、豚等の所有者、飼養衛生管理者及び管理獣医師からこれまでの飼養状況等を聞き取るよう努めた上で判断してください。

3-9 過去に発育不良に陥っていたことがあるが、現在は改善している豚等であって、個体識別できない形で他の豚等と同じ畜舎等で飼養されてるものについては、群として、臨床的に異状が認められない場合、群全体を殺処分対象外とすることが可能か。

殺処分の要否については、患畜確認時点での状況に応じて判断されるべきものであることから、過去の発育状況によらず判断して差し支えありません。

このため、過去に発育不良に陥っていた豚が肥育群に合流しており、当該群に対する拡散状況確認検査において異状等が認められず、患畜確認時点において発育不良に陥っていないと判断できるのであれば、他に殺処分対象とすべき事由がない限り、殺処分対象外と整理して差し支えありません。

3-10 豚熱感染が疑われる症状とはどのような状態をいい、どのように判断すればよいのか。

豚熱感染が疑われる症状は、以下の症状(①を除く。①については、その症状が認められれば該当。)について、直近概ね1週間前の状況と比較して判断されることとなります(留意事項69)。① 耳翼、下腹部、四肢等に紫斑がある。② 摂氏40℃以上の発熱、元気消失、食欲減退③ 便秘、下痢④ 結膜炎(目やに)⑤ 歩行困難、後躯麻痺、けいれん⑥ 血液凝固不全に起因した皮下出血、皮膚紅斑、天然孔からの出血、血便⑦ その他家畜防疫員が豚熱を疑う症状

判断に当たっては、まん延防止の観点から、異状かどうかをまず見極めるようにし、少しでも通常と異なる症状であれば、躊躇なく遺伝子検出検査を実施する必要があります。

また、都道府県は、通常の豚等の状況をよく把握している、豚等の所有者、飼養衛生管理者又は管理獣医師等からの助言を可能な限り受けるよう努めてください。場合によっては、これらの者を拡散状況確認検査に同行させることも有効です。

3-11 発症し、PCR 陽性となった豚等について、遺伝子解析により患畜かどうか判定する必要はないのか。

既に患畜が確認されている農場であることを踏まえると、発症し、PCR 陽性となっている時点で、豚熱に感染している可能性は極めて高く、遺伝子解析の対象とせず殺処分することが適当と考えます。

法第17 条に基づく殺処分は第16 条に基づくと殺と異なり直ちに実施する必要はありませんが、まん延防止の観点から、不要に殺処分の実施が遅くなることは適切ではありません。

発生農場ではPCR 陽性となった段階で、速やかに殺処分の手続きを進めてください。

3-12 「その他家畜防疫員がまん延防止のために殺処分が必要と判断した豚等」とはどのような豚等か。

これらの豚等は、「ワクチン接種後20 日以上経過しており、症状が認められない」ものの、「他の豚等への伝播リスクとなる可能性がある」豚等です。

以下の豚等がこれに該当し得ると考えています。① ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等(3-3 の1の①又は②。)と同様な発育ステージにあり、長く同居している豚等(同一畜房にワクチン接種日の異なる豚等が混在する場合等)② 消毒の徹底のため、ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等が飼養される可能性のある畜舎(分娩舎や離乳舎など)を空舎にするために他の畜舎等に移動させることができない豚等(患畜確認後に新たに生まれてくるワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等が飼養される可能性のある畜舎は、空舎にして消毒を徹底する必要があります。)

また、選択的殺処分は、適切なワクチン接種が前提となることから、そもそも適切にワクチンが接種できていない場合には、ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等以外の全ての豚等がこれに該当することになります(全頭殺処分の可能性)。

さらに、拡散状況確認検査等において、感染が限局していないと認められた場合には、個別に殺処分対象を選択するのではなく、ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等も含め、原則として全ての肥育豚について殺処分を行い、まん延防止に万全を期すことが重要だと考えています(原則として、肥育豚のみ全頭殺処分)

この場合、畜舎の配置等から明らかにリスクがないと認められる豚等がいる場合は、殺処分対象としなくても差し支えない場合がありますので、その旨を農林水産省(動物衛生課)に報告の上、ご相談ください。

3-13 例えば、ワクチン未接種豚が飼養されている畜舎と隣接する畜舎について、飼養衛生管理者が隣接畜舎と別で、拡散状況確認検査も全頭陰性であり、まん延リスクとは考えられないが、続発が不安なので、この畜舎で飼養される豚等まで、「その他家畜防疫員がまん延防止のために殺処分が必要と判断した豚等」として、殺処分の範囲を拡大してもよいか。

法第17 条に基づく殺処分は、私人の財産について、あくまでも、「まん延防止のために殺処分の実施が必要かどうか」という公益的観点から範囲を決定すべきものであって、合理的な理由がなく、ただ不安というだけで殺処分命令を実施するべきではありません。

このため、都道府県は、まん延リスクと考えられない豚等について、拡散状況確認検査により陰性が確認されれば疑似患畜から除外するものとし、原則として農場での飼養を継続し、監視プログラムによって、異状が生じないかどうかを監視することとしてください。

なお、農場の経営判断によりどうしても自主とう汰を希望し、自ら実施することを妨げる必要はありませんが、この場合、手当金交付の対象外となりますので、都道府県は、この点について、当該農場の家畜の所有者に丁寧に説明してください(拡散状況確認検査の実施前に自主とう汰しようとする場合には、法第18条に基づく家畜防疫員への届出が必要になることに留意してください。)。

3-14 3-12 における、「畜舎の配置等から明らかにリスクがないと認められる豚等」とはどのような豚等か。

別の者が一定期間飼養管理を行うなど、感染が確認された畜舎と接触がないと認められる畜舎で飼養されている豚等については、これに該当し、殺処分対象から除外することが可能だと考えています。

なお、感染状況や畜舎の配置、ピッグフロー、飼養衛生管理の状況等は様々であるため、これらの情報を踏まえて個別の事例ごとに該当するかどうかを判断されることとなります。

3-15 「その他家畜防疫員がまん延防止のために殺処分が必要と判断した豚等」はどのように判断されるのか。

豚熱のまん延防止のためには、ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等、既に感染している豚等の確実な殺処分だけでなく、適切な死体等の処理や消毒の徹底による環境中のウイルス量の低減が必要不可欠です。

このため、基本的に、消毒が徹底できない、ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等、既に感染している豚等との飼養動線の関係などから、ウイルスによる強い汚染が疑われる場合など、まん延防止に万全を期すことができないと判断できる場合には、ワクチン未接種や接種後20 日以内の豚等、既に感染している豚等の殺処分だけにこだわることなく、畜舎単位で殺処分を行うなども検討されることとなります。

実際の判断に当たっては、感染状況や畜舎の配置、ピッグフロー、飼養衛生管理の状況等が重要となりますので、都道府県は、日ごろから農場の状況に精通している豚等の所有者、飼養衛生管理者又は管理獣医師からの助言を可能な限り受けるようにしてください。

いずれにしても、殺処分の範囲は都道府県が農林水産省(動物衛生課)と協議の上、決定することとなります。

3-16 「その他家畜防疫員がまん延防止のために殺処分が必要と判断した豚等」の判断に当たり、発生農場の生産者は都道府県に意見してはいけないのか。

発生農場の経営上の理由のみで殺処分の範囲について意見することはできませんが、まん延防止のために殺処分が必要かどうか判断するためには、日ごろの飼養管理の状況等をよく把握している発生農場からの意見は重要だと考えています。

このため、都道府県は、日ごろの飼養管理の状況等について、発生農場からよく聞き取るようにしてください。また、発生農場を担当する管理獣医師にも積極的に意見を聞くように努めてください。

3-17 留意事項78 に基づき、殺処分対象から除外された繁殖豚から生まれた子豚がワクチン免疫を付与されるまでの間に飼養される見込みである分娩舎を空舎にして消毒するため、繁殖豚を移動させたいが、農場内に当該繁殖豚を移動させる場所がない。この場合、繁殖豚は必ず殺処分しなければならないか。

選択的殺処分は、まん延防止を優先しつつ、発生農場の経営への影響の軽減も目的としているため、複数回のワクチン接種により免疫が十分付与されている可能性が高く、子豚生産を通じた農場の生産継続に影響を及ぼす繁殖豚については、殺処分対象としない方策についても検討すべきと考えます。

この際、移動先がなく、消毒を徹底すべき分娩舎を空舎にできない場合には、動物衛生課と協議の上、こうした繁殖豚の飼養を継続しながら消毒を行う選択としていただいて差し支えありません(留意事項78 ただし書き)。

ただし、この場合、当該分娩舎で分散して飼養されている豚等を可能な限り一か所に集約しながら消毒を実施するよう努める、消毒実施前に有機物の除去を念入りに行うなど、清掃や乾燥が比較的難しくなりやすい状況であることを踏まえ、消毒の効果を最大限発揮できるようにしてください(留意事項78 ただし書き)。

3-18 繁殖豚は殺処分対象としない方策についても検討すべきとされているが、更新間近の繁殖豚など、殺処分しても農場の経営にそこまで影響を与えないものも殺すべきではないと考えているのか。

前問で回答しているように、殺処分対象としない方策を検討すべき繁殖豚は、複数回のワクチン接種により免疫が十分付与されている可能性が高く、子豚生産を通じた農場の生産継続に影響を及ぼす個体であると考えます。

このため、更新間近で飼養期間が短く、経営上のメリットもない個体であれば殺処分対象としてください。

3-19 どのような場合に、適切にワクチン接種が実施されていないと判断されるのか。

原則として、都道府県の指示に従ってワクチン接種をしっかりと行えていると判断できれば、適切にワクチン接種が実施されていると判断できます。

具体的には、① 認定農場(都道府県知事が飼養衛生管理基準の遵守、ワクチン管理体制等に係る要件を満たすと判断して認定する農場をいいます。)において、作業手順書に従っているかなど、認定農場の要件を満たしているかどうか② 厳格にワクチンを管理しているかどうか③ ワクチン接種プログラムに従っているかどうか④ その他家畜防疫員の指示に従っているかどうかなどが判断材料となります。(留意事項70)

例えば、飼養頭数について不適切な報告を行い、必要量を超える本数のワクチンを受領したり、薬機法(昭和35 年法律第145 号)で承認された用量に従わずに接種していたり、適切な手続きを経ず、都道府県の許可を得ないで追加接種をしたりすることにより、免疫付与に疑義があると判断される場合等には適切にワクチン接種が実施されていないと判断されることとなります。

3-20 前問で具体的な判断材料を掲げているが、少しでも違反したら全頭殺処分となるのか。例えば、風邪を引いてしまったなどの理由で、登録飼養衛生管理者がワクチン接種予定日にワクチンを接種することができなかった場合には、適切にワクチン接種をしていないと判断されてしまうのか。

適切なワクチン接種のためには、接種農場が確実に都道府県の指示に従うことが最も重要です。

このため、日ごろから都道府県の指導等に確実に従っている農家であれば、要件違反等の内容について、ワクチンの効果に影響があることが想定されない軽微なものであれば、適切にワクチン接種が実施されていると判断できます。

したがって、風邪を引いてしまうなど、突発的な理由でやむを得ず接種予定日にワクチン接種できなかったことだけをもって、適切にワクチン接種をしていないと判断することは適当ではないと考えます。

一方で、接種適期に適切にワクチン接種を行うことが何よりも重要であることから、特に登録飼養衛生管理者によりワクチン接種を行っている農場においては、突発的な事象が生じてもワクチン接種が実施できるよう、知事認定獣医師の活用も含めて、都道府県は、日ごろから十分な接種体制を構築するようにしてください。

3-21 直近の免疫付与状況等確認検査の結果、農場全体の抗体陽性率が80%に満たない場合やそもそも検査をしていない場合には、適切なワクチン接種が実施されていないと判断されてしまうのか。

80%を大きく下回る場合を除けば、適切なワクチン接種が実施されているかどうかの判断に免疫付与状況等確認検査の結果を用いることはありません。

80%を大きく下回る場合については、免疫付与状況等確認検査の詳細なデータを農林水産省(動物衛生課)に共有の上、相談しながら個別判断となります。

また、免疫付与状況等確認検査は管内農家から抽出して行われるものであるため、実施していないことをもって適切なワクチン接種が実施されていないとの判断にはなりません。

3-22 適切にワクチン接種を実施していないと判断された場合、必ず全頭殺処分しなければならないのか。

選択的殺処分は、適切なワクチン接種が前提となるため、適切にワクチン接種が実施できていないと判断された場合には、原則として繁殖豚も含めて全頭殺処分すべきと考えています。

一方で、例えば、導入元農場で適切にワクチン接種されていることが確認されている豚等を殺処分対象から除外することや、認定農場においてワクチン接種を行う登録飼養衛生管理者が2名おり、うち1名で要件違反が認められた場合には、もう1名による接種が適切だと認められれば、殺処分の範囲は、要件違反者が接種した豚等に限るなどということが考えられます。

いずれにしても、都道府県が殺処分の範囲について国と協議する段階で、個別事例の状況に応じて適切な殺処分の範囲を決定することになるため、必ず全頭殺処分しなければならないわけではありません。

3-23 免疫付与状況確認検査の結果、農場の抗体陽性率が極めて低値だったため、追加接種を検討したところ、生産者から理解が得られず、特段の対応が未着手だった中で豚熱が発生したときには、全頭殺処分を実施することになってしまうのか。

選択的殺処分は適切なワクチン接種により豚等に免疫が付与されていることが前提となるため、農場の免疫付与状況が極めて低値である場合、全頭殺処分は現実的な選択肢になり得ると考えます。

このため、農場の免疫付与状況が極めて低値である場合には、① 接種者の手技の確認② 接種適期の見直し(必要に応じて接種時期の後ろ倒しなど)③ 追加接種の実施④ 農場に浸潤している他の慢性疾病対策等を講じ、農場の免疫付与状況の改善策を至急実施することが重要です。

3-24 ワクチンは適時・適切に接種されているが、免疫付与状況確認検査の結果、抗体価が十分に上がっていないことなどから、ワクチン未接種の豚等やワクチン接種後20 日を経過していない豚等、留意事項69 の考え方に基づき、殺処分の範囲を限定的にしてしまうと続発を防ぐことが困難になる場合も想定される。こうしたときに、殺処分の範囲を拡大してよいか。

選択的殺処分は、発生農場の経営への影響や現場で生じる様々な負担の軽減とまん延防止の徹底を両立させるために実施するものですが、まずはまん延防止の徹底が重要となります。

このため、繁殖豚も含め、免疫が十分得られていないと考えられる群については、ワクチン未接種や接種後20 日を経過していない豚等と同様、殺処分を行うことが妥当と考えられます。

なお、現時点で想定されているケースがあるわけではありませんが、発生農場におけるワクチン接種の状況や家畜の飼養状況等を総合的に勘案し、続発が懸念される妥当な理由があると認められる場合には、同様に殺処分範囲を拡大して差し支えないものと考えています。

3-25 感染が限局しているかどうかは、どのように確認されるのか。

豚等が豚熱に感染しているか否かの判断は、臨床検査と遺伝子検出検査の結果に基づき実施されます。

具体的には、患畜確定後に実施する拡散状況確認検査の結果、異状を呈し、遺伝子検出検査が陽性となった豚等が確認された畜舎数(患畜が確認された畜舎を含む。)が、全畜舎数の半数未満であるかどうかを目安として判断されます。

半数以上の畜舎で感染が確認された場合は、原則として繁殖豚を除く肥育豚全頭を殺処分することを検討することとなります。

3-26 畜舎の数が少ない場合であっても、半数以上の畜舎で感染が確認されれば感染が限局していないとみなされてしまうのか。

「半数以上」については、あくまでも目安であるため、特に畜舎の数が少ない農場にあっては、飼養状況と感染状況を踏まえた上で、感染が限局しているかどうか個別に判断する必要があります。

このため、都道府県は、拡散状況確認検査が終了した時点で、各畜舎内の豚等の配置など、飼養状況の詳細と検査結果を農林水産省(動物衛生課)に共有した上でご相談ください。

3-27 トントンハウスなどは1基を畜舎1つとみなされるのか。また、1 棟の畜舎でも、完全に部屋ごとに隔離されている場合や通路で全畜舎がつながっている場合、畜舎1つとみなされるのか。

飼養衛生管理基準において、畜舎への出入りの都度、消毒及び衣服、靴等の交換を行うことが義務付けられています。構造的に区分されていても汚染防止のためのこうした措置が講じられていない畜舎で感染が拡大している場合は、限局した感染ではないと考えています。

このため、畜舎1つの判断は、出入りの都度、消毒及び衣服、靴等の交換を行っているかどうかから判断されます。

したがって、トントンハウス1基ごとに消毒及び衣服・靴等の交換を実施していないのであれば1基が独立した畜舎1つとみなされることはありません。反対に、1棟の畜舎であっても、部屋ごとに消毒及び衣服・靴等の交換を実施していれば、1部屋を独立した畜舎とみなすことも可能です。

3-28 感染が限局していないと判断された場合、いかなる場合でも肥育豚を全て殺処分しないとならないのか。

感染が限局していないと判断されたということは、既に農場内にウイルスが広く浸潤している可能性が高いと考えられます。

このため、まん延防止に万全を期す観点から、積極的に肥育豚全頭の殺処分が検討されることとなります。

一方、畜舎の配置も含めた豚等の飼養状況から、ウイルスが浸潤していないと認められる豚群については、殺処分の対象から除外される可能性があります。

具体的には、別の者が一定期間飼養管理を行うなど、感染が確認された畜舎と接触がないと認められる畜舎で飼養されている豚等については、殺処分の対象から除外できる可能性があると考えます。

3-29 殺処分対象から除外された繁殖豚から新たに生まれてくる子豚の殺処分範囲はどのように決定されるのか。

農場での豚熱の新規発生以降も、繁殖豚から子豚が順次出生しますが、3回の消毒を含む全ての防疫措置が完了(殺処分、死体等の処理及び畜舎等の消毒(3回目)が全て完了していることをいいます。以下同じ。)するまでは、農場にウイルスが存在する可能性が否定できないため、この間に生まれた子豚については、豚熱ウイルスに触れた疑いが否定できないことから、疑似患畜と判定されます。

1により疑似患畜と判定された子豚はワクチン未接種であることから、殺処分の対象となります。

一方、防疫措置が完了した後に出生した子豚については、ウイルスに触れた疑いがないことから、疑似患畜とはせず、農場での飼養を継続することができます。

なお、これらの子豚は、ワクチン免疫を有しておらず、豚熱への感受性を有していることなどから、監視期間中、他の豚等と同様、毎日の健康観察の徹底が非常に重要となりますので、都道府県は発生農場への指導を徹底するようにしてください。

3-30 防疫措置の完了までに新たに生まれてくる子豚は必ず殺処分されてしまうのか。

発生農場において、殺処分から除外された繁殖豚(母豚)から新たに生まれてくる子豚は、母豚から移行抗体を得ていますが、生後徐々に減衰し、消失するため、感染を十分に防御できるだけの免疫を有し続けていません。

発生農場における防疫措置の完了までは、分娩舎や離乳舎等の環境中の豚熱ウイルスが十分に低減できていないと考えられるため、この期間に新たに生まれてくる子豚は、ウイルスに触れ、感染拡大の原因となる疑いを否定することができないため、疑似患畜として殺処分が必ず必要です。

3-31 防疫措置の完了までに新たに生まれてくると見込まれる子豚について、胎子の時点であらかじめ人工流産させることは可能か。可能な場合、このような胎子に対して手当金を交付できるか。

防疫措置の完了までに新たに生まれる予定の胎子については、無事出生しても疑似患畜として殺処分されることが明らかであるため、あらかじめ人工流産することが可能です。

人工流産による流産胎子は疑似患畜と判定されることとなります。また、その処分は、都道府県知事の殺処分命令(法第17 条)によるものである場合、法に基づき、胎子に対して手当金を交付することが可能です。

なお、人工流産に使用した薬品等については、家畜伝染病予防費の対象とすることが可能です。

3-32 拡散状況確認検査の結果、農場内の広範囲で陽性豚が確認され、農場内でウイルス伝播が相当程度進行していると考えられる場合などには、防疫措置完了までに出生予定の胎子に限らず、妊娠豚に対する人工流産の対象範囲を広げてよいか。

人工流産は法第17 条第1項に基づく殺処分と同じ目的で行われることから、あくまでもその対象は防疫措置完了までに出産を予定している繁殖豚となります。

一方、既にウイルスが広範囲に浸潤している可能性が高く、消毒を徹底して再発防止に万全を期す必要があるときには、防疫措置の実施期間がそうでない場合に比べて延長されることも想定されます。

このため、発生時の防疫計画の策定に当たっては、まん延防止のために人工流産が必要な繁殖豚を踏まえた上で防疫措置完了予定日時を適切に設定するようにしてください。

3-33 防疫措置の完了までには、毎日のように新たな子豚が殺処分対象として生まれてくるが、生まれてくる都度、都道府県は、殺処分命令をかけないとならないのか。

発生農場において、患畜確認後、防疫措置の完了までの間に新たに出生する豚等については、殺処分の対象となりますが、必ずしも出生の都度殺処分命令を行う必要はなく、患畜確認時点で都道府県がまとめて命令することが可能です。

具体的には、例えば、① 農場で飼養する繁殖豚から出生する豚等のうち、防疫措置が完了するまでの間に新たに出生する豚等について殺処分すべき旨を命じるものとし、② 当該豚等の出生後可能な限り速やかに殺処分するものとするように都道府県が対応することが妥当だと考えています。

3-34 防疫措置の完了後に新たに生まれた子豚と殺処分を除外された肥育豚との隔離をなぜ行わなければならないのか。また隔離の徹底は、どの程度行えばよいのか。

新たに生まれた子豚は十分なワクチン免疫を持っていないため、比較的少量のウイルスの暴露により感染し、まん延リスクとなる可能性があります。

万が一、殺処分を除外された肥育豚を介してウイルスが新たに生まれた子豚に伝播することのないよう、万全を期すことが重要となります。

また、繁殖豚には複数回ワクチンが接種されており、感染の可能性はほとんどないものの、妊娠50-70 日の期間に豚熱に感染した場合には、持続感染となりウイルスを排出する子豚を産出する可能性が完全には否定できません。

このため、新たに生まれた子豚の群自体も、異状が生じていないかどうかについて監視を徹底するとともに、万が一殺処分を除外された肥育豚にウイルスが伝播することのないよう、隔離を徹底する必要があります。

こうしたことから隔離を徹底する必要があると考えており、基本的には以下の措置など、両者の接触がない状態を維持することが必要と考えています。① 新たに生まれた子豚と殺処分を除外された肥育豚が別の畜舎で飼養されていること② 新たに生まれた子豚の飼養管理を行う者と殺処分を除外された肥育豚の飼養管理を行う者が別の者であること

加えて、新たに生まれた子豚の群も、殺処分を除外された肥育豚の群も、毎日の健康観察、都道府県への報告を通じて、監視を徹底してください。

3-35 (ワクチン接種区域の)と畜場から異常豚の届出を受けた場合、異常豚等のと畜を中止することが留意事項36 の6において定められているが、同一の農場から出荷された豚等のと畜は中止しなくてもよいのか。また、届出接受時点でと畜場内に搬入されている豚等についてもと畜を中止しなくてよいのか。

同一の農場から出荷されたものも含め、届出接受時点でと畜場に搬入されている豚等については、臨床上異状が認められなければと畜を中止する必要はありません。

これらの豚等は、出荷適期を迎えており、ワクチン接種から一定の期間が経過していることから、豚熱のまん延リスクになることは考えにくいことに加え、患畜や疑似患畜ではなく、その疑いもないことから、と畜を中止する必要はありません。

3-36 3-35 の場合、異常豚等が所在した場所の消毒が完了するまで、畜産関係車両の入場を自粛することとされている。裏を返せば消毒が完了すれば新たに豚等をと畜場に搬入してよいと解されるが、当該異常豚等が患畜でないことが確認されるのを待たずに搬入を再開してよいのか。

実際の対応として、病性鑑定のため、異常豚は家畜保健衛生所に搬入されます。また、異常豚の同居豚は異状がなければと畜され、異状があれば、異常豚と同様に家畜保健衛生所に搬入されます。このような場合には、と畜場に豚熱に感染している疑いのある豚等は残りません。したがって、消毒が完了すれば豚熱のまん延リスクは無視できるようになると考えられます。

異常豚や同居していた異状を示す豚がと畜場にいない場合、異常豚等に対する検査結果が得られていなくても、消毒が完了していれば、新たに畜産関係車両の入場を認め、新たに豚を搬入して差し支えありません。

3-37 異常豚等が患畜となった場合、と畜場における殺処分の範囲をどのように決定すればよいのか。また、防疫措置はどのように実施すればよいのか。

前問のように、と畜場における異常豚は原則として全て家畜保健衛生所に搬入されることになります。また、異状がなければと畜されることとなります。

このため、と畜場で確認された異常豚等が患畜となった場合、原則として殺処分すべき豚等は生じないと考えています。

なお、消毒(患畜確認前から実施している場合は改めて実施する必要はない)は必要となるため、留意事項79 に基づき適切に実施してください。

3-38 と畜場に異状を呈した豚等はいないが、出荷元農場で異常豚等が確認された場合、と畜前の同一農場の豚等のと畜を中止しなくてよいのか。

と畜場において異状を呈している豚等が存在しないのであれば、出荷元農場と同一の農場の豚等も含め、と畜の中止も、新たな畜産関係車両の入場自粛も不要です。

一方で、同一の農場の豚等を含め、搬入されている全ての豚等について、万が一異状を呈している豚等がいないかどうか、臨床症状をよく確認してください。4.防疫措置について

4.防疫措置について

4-1 拡散状況確認検査とは何か。

拡散状況確認検査は、患畜確認後、発生農場における豚熱ウイルスの拡散状況を把握するために実施するものであり、具体的には、豚熱に感染し、その症状を発症してまん延リスクになる豚等を特定するために実施するものです。

同検査は、まずは発生農場で飼養されている全ての豚等を対象に臨床検査を行い、臨床検査において豚熱感染を疑う症状が認められた全ての豚等に対して、血液検査、ELISA 検査及びPCR 検査を実施する必要があります。

豚熱のまん延を防止するためには、この検査において、まん延リスクとなる豚等をしっかりと摘発することが重要になります。このため、臨床検査において、少しでも豚熱感染が疑われる豚等については、全てPCR 検査等を実施するようにしてください。

拡散状況確認検査の実施に当たっては、農場における通常の臨床症状を把握することが重要です。このため、豚等の所有者、飼養衛生管理者、管理獣医師等、当該農場の通常の状態をよく把握している者から可能な限り助言を受けるよう努めてください。また、検査にこれらの者の同行を求めることも有効です。

さらに、拡散状況確認検査を実施する畜舎等は、必ずしもウイルスに汚染されているとは限らないものであるため、検査の実施者は、自身や畜舎等に持ち込む器具等を介して感染が拡大することの無いよう、交差汚染防止対策を徹底することが必要であり、人員的に余裕がある場合は、畜舎ごとに検査実施者を変更することも有効です。

4-2 拡散状況確認検査はどのタイミングで実施されるのか。

殺処分の範囲は迅速に決定される必要があることから、原則として患畜確定後、速やかに実施される必要があります。

一方、感染していない豚舎への感染拡大を防ぐため、拡散状況確認検査は、患畜確認時の病性鑑定を行った者と異なる者が行う必要があります。都道府県は、患畜確認後速やかに検査が実施できるよう、農場から異常豚の届出がされた段階など、あらかじめ検査実施者の選定等の準備を進めてください。

4-3 拡散状況確認検査を患畜確認前に実施してよいか。

拡散状況確認検査は、防疫指針7-2の2(2)に記載のとおり、患畜確認後に実施してください。

ただし、同検査を効率よく進めるための準備段階として、患畜確定前に家畜の所有者等に飼養豚の臨床症状の聞き取りを行ったり、豚舎に立ち入り、臨床症状を把握したりすることは可能です(事前の評価や防疫措置の動線確認等と併せて実施して差し支えない。)。

家畜防疫員が畜舎に立ち入る場合には、ウイルスの浸潤状況が明らかではない状況で畜舎に立ち入ることになることを踏まえ、患畜確定後、必要最小限の人員で交差汚染に十分留意して実施するようにしてください。

4-4 患畜確認後に改めて臨床検査等、拡散状況確認検査を実施することを前提に、事前準備として臨床検査を把握したところ、異状を呈する豚が確認された場合には患畜確認前であっても採材を行い、血液検査、エライザ法及び遺伝子検出検査を実施してもよいか。

患畜確認後に拡散状況確認検査として臨床検査や異常豚に対する精密検査を行うのであれば、事前に異常豚から採材を行い、血液検査、エライザ法及び遺伝子検出検査を実施いただいて差し支えありません。

遺伝子検出検査で陽性となった場合には、拡散状況確認検査の実施を待たずに殺処分対象として動物衛生課と協議いただいて差し支えありません。

一方、遺伝子検出検査が陰性となった場合には、患畜確認後の拡散状況確認検査において、改めて採材の上、血液検査、エライザ法及び遺伝子検出検査を実施いただく必要があります。

患畜確認前の検査の実施については、このように実施した検査結果によって対応が変わることを十分認識した上で御検討ください。

4-5 拡散状況確認検査前に殺処分範囲の一部を決定し、殺処分を開始してよいか。患畜決定時点で、ワクチン未接種豚、初回接種後20 日を経過していない豚及び発育不良豚は、拡散状況確認検査の結果を待たずにワクチン免疫が成立していない豚等として殺処分対象とすることが可能と考えられる。特に、患畜が確認された畜舎にこれらの豚がいる場合は、速やかな殺処分により拡散防止を図るため、事前に動物衛生課と協議し、患畜確定とともに殺処分命令を発出してよいか。

ワクチンの接種状況だけで殺処分が必要できると判断できる場合など、必ずしも拡散状況確認検査を経ずに殺処分の要否を判断可能な豚も存在し得ることから、ワクチン未接種豚など、検査実施前に殺処分が必要と判断されたものについては、同検査の実施状況にかかわらず、患畜確認後、協議の上殺処分命令を発出して差し支えありません。

発育不良豚については、患畜確認後に拡散状況確認検査(のうち臨床検査により)発育不良に陥っているかどうか確認する必要がある点に注意してください。

4-6 拡散状況確認検査において、農場内の全ての飼養豚等を臨床検査することとされているが、1頭ずつもれなく体温測定を行わなければならないのか。

発熱は他の呼吸器疾患等と関連して発生することが多いことから、検温の必要性は、他の臨床症状の発生状況も考慮して、個体または群ごとに判断してください。

また、サーモグラフィー等によって、ある程度の群としての状況を把握する方法も有効であると考えられます。

4-7 拡散状況確認検査において発症している豚等が多い場合には、まずは各畜舎少なくとも5頭採材してPCR 検査等を実施するものとされているが、全ての発症豚について検査しなくてもよいか。

拡散状況確認検査の目的は、発症豚及びその豚熱感染を摘発することです。異状を呈している豚等が豚熱に感染しているかどうか確かめることなく、そのまま飼養を継続した場合、豚熱感染を見落とし、まん延のつながるおそれが生じるため、全ての発症豚について採材の上、PCR 検査等を実施するのが基本です。

一方で、同一の畜房に複数の異常豚等がいる場合であって、そのうちの一部を検査してPCR 陽性となったときに、畜房内の豚等を全て殺処分対象とするのであれば、畜房内の残りの豚等の検査の必要はありません。(逆に一部の検査で陰性だった場合は、基本的に他の同房の異常豚等について検査が必要です。)

なお、防疫指針において、まずは各畜舎少なくとも5頭採材するよう求めているのは、農場や畜舎全体の状況を速やかに把握するためです。したがって、複数の畜房で異常豚が存在する場合には、1つの畜房から5頭採材するのではなく、異常豚が存在する複数の畜房をバランスよく採材するようにしてください。

4-8 拡散状況確認検査において、症状を示さない感染豚を摘発するため、臨床上異状がない豚等に対しても遺伝子検出検査等を実施するべきではないか

選択的殺処分の検討に当たり集積した科学的知見から、「適切なワクチン接種により免疫を獲得した症状のない豚等は、殺処分しなくとも感染拡大リスクにならない」との結論を得ています。

また、動衛研で実施した感染実験の結果からは、豚熱の症状を呈しない豚等の体内からわずかに豚熱ウイルスの遺伝子が検出される例があるものの、他の豚等にウイルスを伝播するリスクがないことが明らかとなっています。

このため、臨床上異状がない豚等については、遺伝子検出検査等の精密検査を行う必要はありません。

4-9 拡散状況確認検査に血液検査やELISA は不要ではないか。なぜこれらの検査を実施しなくてはならないのか。

拡散状況確認検査で異状が確認された豚等は、豚熱に感染している疑いがあるものであるため、通常の緊急病性鑑定と同様に、豚熱に感染しているか否かを総合的に判断する必要があります。

疑似患畜の判定の基準になるのは遺伝子検出検査で陽性になるか否かであるが、疾病の病性鑑定は各種検査を総合的に講じて行うものであることから、血液検査やELISA は必須だと考えています。

4-10 殺処分命令を発出する際、都道府県は、期限をどのように設定すればよいか。

殺処分命令の期限は、概ね1週間程度としてください。頭数が多く、1週間程度で実施できない場合には、一日あたり概ね300 頭程度殺処分することを目安に適切な期限を設定するようにしてください(留意事項75)。

この殺処分は、従前実施していた全頭殺処分のように、直ちにしなければならないものではありませんが、まん延防止の観点から、殺処分は速やかに完了させるべきものであり、不必要に長い期限を設定することは適当ではありません。

4-11 拡散状況確認検査等の結果により追加的に殺処分を行う可能性が生じるが、殺処分命令は都度発出しなければならないのか。

まん延防止の観点から、殺処分は速やかに完了させるべきものであることから、都道府県は、特別な事情がない限り、都度発出するようにしてください。また、殺処分は、必ず命令発出後に行うようにしてください。

一方で、必ずしも直ちに着手しなければならないものではないため、患畜確認時点で他の畜舎に異常豚がいることが既に分かっている場合などに拡散状況確認検査の結果を待ってまとめて殺処分命令を発出して差し支えありません。

いずれにしても、殺処分の範囲が決まっているにもかかわらず、何日も殺処分命令が発出されず殺処分が開始されないといったことがないよう留意してください。

4-12 飼養を継続する豚等がいる中で防疫措置を行う上で、どのような点に注意するべきか。

殺処分対象から除外され、農場で飼養を継続する豚等がいる中で防疫措置を実施するのに当たっては、防疫措置と殺処分対象から除外されたまん延リスクのない豚等との交差汚染防止を徹底することが重要です。

出入口が1つしかないなど、防疫措置と日常の飼養管理の動線が交差する場合には、防疫措置を実施する時間と日常の飼養管理や飼養管理に必要な資材の搬入などを行う時間を明確に分け、それぞれの作業終了後には動線上の消毒を徹底する、防疫従事者が入れない飼養衛生管理区域について、カラーコーン等を用いて明確に設定するなど、農場の構造や豚等の飼養状況等に応じて最も交差汚染防止対策が実施できる方法をご検討ください。

4-13 防疫措置に従事する人員の数をどう考えるべきか。迅速に防疫措置を完了させるため、できるだけ多数の人員を従事させるべきなのか。

従前の全頭殺処分と異なり、選択的殺処分の導入に伴い、発生農場内には飼養を継続する豚等が残ることとなります。このため、これらの豚等への豚熱ウイルスの伝播や慢性疾病の持ち込みを防ぐ観点を考慮すると、必ずしも多数の動員を行うことが適当とは限りません。

したがって、防疫措置の実施に当たっては、殺処分の範囲等に応じて、農場従業員とも役割分担を図りながら、最も円滑かつ効率的に殺処分が実施できる動員人数とするべきであり、その目安を一律に示すことはできません。いずれにしても、動員された防疫措置従事者は、交差汚染防止対策等、農場内の感染拡大防止に最大限留意する必要があります。

なお、防疫作業中の畜舎は、通常の飼養管理の際とは異なり、消毒や更衣の不徹底などによりウイルスに暴露しやすい条件になっています。このため、分娩舎の子豚の殺処分といった特殊な作業を除き、農場の従業員などの殺処分対象から除外された豚等の飼養管理に関わる人員や機材が防疫措置に関わることがないよう、区分管理を徹底してください。

4-14 防疫措置において、発生農場の従業員は新たに生まれてくる子豚のみを殺処分し、他の殺処分対象の豚等は都道府県等が行うことは可能か。また、この場合、発生農場の従業員の殺処分完了を待たず、都道府県等と発生農場の従業員が同時に殺処分を進めてもよいか。

防疫措置の実施に当たっては、殺処分の範囲等に応じて、農場従業員とも役割分担を図りながら、最も円滑かつ効率的に殺処分が実施できる体制とすべきであるため、新たに生まれてくる子豚のみを発生農場の従業員が実施することが最も円滑かつ効率的であれば、家畜防疫員の指導・監督の下、可能です。

法第17 条に基づく殺処分は、まずは疑似患畜の所有者が実施すべきものとされていますが、頭数が多く現実的でない場合などには、期限までに実施する見込みがないものとして、家畜防疫員(都道府県)が殺処分を行うことができることになっています。

家畜防疫員(都道府県)が殺処分を実施する場合であっても、発生農場の従業員が殺処分に従事してはいけないということはありませんが、いずれの場合であっても、防疫作業時における病原体への暴露リスクを踏まえ、発生農場の従業員のうち、飼養管理を継続する者は可能な限り防疫措置に従事しないことが望ましいと考えます。

4-15 防疫措置を発生農場の従業員だけで実施することは可能か。

防疫措置を発生農場の従業員だけで実施して差し支えありません。

ただし、通常の飼養管理と異なり防疫作業時には病原体に暴露するリスクが非常に高くなるため、防疫作業を行う従業員と飼養管理を継続する従業員を分ける必要があります。

また、防疫措置は法に基づき家畜防疫員がする指示に従ってすべきものであるため、農場内の感染拡大防止に最大限留意する観点も踏まえ、家畜防疫員の指導・監督の下、的確に実施するようにしてください。

4-16 殺処分方法は従前のとおりでよいのか。また、殺処分した疑似患畜の死体はどのように処理したらよいのか。

殺処分方法は、従前のとおり、防疫措置従事者の安全を確保することに留意し、薬殺、電殺、二酸化炭素によるガス殺等の方法により迅速に行ってください。

殺処分した疑似患畜の死体についても、従前のとおり、焼却又は埋却により処理することとしてください。

4-17 防疫措置実施期間中に新たに生まれてくる子豚は、生まれたその日に殺処分しなければならないか。

新たに生まれてくる子豚は、免疫が成立していない豚等であるため、速やかに殺処分されなければ豚熱に感染してウイルスの増幅、排せつが始まり、まん延リスクになり得ることから、可能な限り出生後間をおかずに殺処分すべきものとなります。

一方で、防疫措置の実行可能性を考慮した際に、大規模農場等、必ずしも出生した日に殺処分を実施できない場合も考えられることから、農場の飼養状況や家畜防疫員が立入できる頻度等を考慮の上、できるだけ早く殺処分できるようにしてください。

なお、前問のとおり、殺処分を家畜の所有者や農場の従業員が実施することも可能ですので、この点も踏まえ適切に防疫計画を御検討ください。

4-18 殺処分から除外した豚等が豚熱を疑う症状はないものの死亡した場合、その死体をどのように処理したらよいのか。

防疫措置を実施している期間(畜舎等の3回の消毒が完了するまで)は、農場内に一定程度ウイルスが存在している可能性が高いため、殺処分から除外した豚等は、体表を含め、豚熱ウイルスにより汚染している疑いが否定できません。

このため、このような死体についても、豚熱の病原体に汚染したおそれがある物品として、殺処分した疑似患畜の死体に準じて、法に基づき焼却又は埋却により処理することとしてください。

なお、この死体についても、死体として価値がある場合には法に基づく手当金の交付対象となります。

4-19 患畜確認時点で飼養されていた殺処分すべき疑似患畜を全て埋却し、埋却地を埋め戻した後に、新たに生まれた子豚の殺処分後の死体をどのように処理すればよいのか。

防疫措置の実施状況にかかわらず、患畜確認後に新たに生まれてくる豚等は、法に基づき焼却又は埋却する必要があります。

選択的殺処分においては、検査の要否により殺処分対象と決定されるタイミングが異なる豚等が生じる可能性があることから、全ての埋却地を一度に埋め戻さないなど、埋却地の埋め戻しなどについては、ウイルスの拡散防止に留意しつつ、防疫措置全体の進展を見据えて実施するようにしてください。

4-20 汚染物品の範囲をどのように考えたらよいか。また、これらの物品をどのように処理したらよいのか。

汚染物品には、患畜及び殺処分された疑似患畜由来の精液等(精液、受精卵等の生産物をいいます。以下同じ。)、排せつ物等、敷料、飼料その他のウイルスにより汚染したおそれのある物品が該当します。

これらの汚染物品は、家畜防疫員がする指示に従って、焼却、埋却又は消毒することとしてください。

なお、一旦疑似患畜とされ、その後、疑似患畜から除外された豚等由来の精液等や排せつ物等といった物品は、1の汚染物品と区別可能であれば、汚染物品とはなりません。

4-21 閉鎖系のタンク内の飼料も汚染物品に必ずしなくてはならないのか。

疑似患畜が一切確認されなかった畜舎等に設置されている閉鎖系のタンク内の飼料は必ずしもウイルスに汚染しているとは限らないため、汚染物品から除外できる可能性があると考えます。

汚染物品かどうかの判断は、殺処分の範囲等を踏まえ、その物品のウイルスによる汚染の可能性をよく考慮することが重要です。

4-22 患畜由来の排せつ物と殺処分対象外の豚等由来の排せつ物が堆肥舎に混在しているが、全ての排せつ物を焼却又は埋却しなければならないのか。

選択的殺処分を実施する農場における汚染物品に該当するのは、患畜及び殺処分された疑似患畜由来の排せつ物等であるため、必ずしも殺処分対象外の豚等由来の排せつ物まで焼却、埋却等により処理する必要はありません(処理してもよい)。

ただし、混在し、区別できない排せつ物等は汚染物品として、焼却、埋却等が必要となります。

こうした物品について焼却又は埋却が困難な場合は、消毒により汚染物品を処理することを検討してください。

排せつ物の消毒は、発酵消毒により行うものとし、切り返しにより発酵させる場合は、排せつ物の表面には切り返し後、消石灰を十分に散布して、ウイルスの不活化・拡散防止措置を実施してください。また、切り返しの際には、堆肥舎をブルーシートで被うなど、飛散を防止する措置を講じてください。

なお、従前のように発酵消毒させる排せつ物等をブルーシート等により被覆する必要まではありませんが、風雨等により農場外に漏出することのないよう、必要な措置を講ずることとしてください。

4-23 浄化槽には患畜由来の排せつ物が含まれているが、どのように処理したらよいのか。

浄化槽においては、微生物によるウイルスの不活化が進められていること、希釈により感染性が低下していると考えられることなどから、浄化槽自体の消毒や封じ込め措置など、特別な措置は必ずしも実施する必要はありません。

まん延防止の観点から、患畜等(4-15 までの問において、患畜及び殺処分された疑似患畜をいいます。)由来の尿(原尿)が集まり投入される受入ピット等のウイルスにより汚染されている可能性がある設備やその周辺の消毒を徹底し、ネット等を用いて飛散防止措置等を講ずることとしてください。

4-24 堆肥舎には患畜由来の排せつ物が含まれているが、どのように処理したらよいのか。

堆肥舎は、そもそも豚等の排せつ物を発酵により堆肥へと変換させる施設であり、発酵が進んだものはウイルスが不活化していくこととなるため、必ずしも堆肥舎に存在する全ての排せつ物等を焼却又は埋却する必要はありません。

また、密閉縦型コンポストや自動撹拌装置などを活用した無人・半自動タイプの堆肥施設については、完成した堆肥はウイルスが不活化されることとなるため、当該施設に存在する排せつ物に対して、装置の停止や封じ込め措置などの特別な措置を講ずる必要はありません。

まん延防止の観点から、患畜等由来の排せつ物等の投入口などのウイルスにより汚染されている可能性がある設備やその周辺の消毒の徹底、飛散防止措置等を講じることとしてください。

一般的な堆積式の堆肥舎にあって、その堆積した排せつ物や堆肥を埋却又は焼却できない場合には、表面を十分な石灰散布により消毒しつつ、発酵消毒により処理することとしてください。

この場合、従前のように発酵消毒させる排せつ物等をブルーシート等により被覆する必要まではありませんが、風雨等により農場外に漏出することのないよう、必要な措置を講ずることとしてください。

4-25 1つしかない堆肥舎を発酵消毒した場合、使用できる堆肥舎がなくなり営農を継続できない。どうしたらよいか。

前問で示したように、堆肥舎の発酵消毒に当たっては、表面の十分な石灰散布は必要ですが、排せつ物等をブルーシート等により被覆する必要はありません。

このため、1つしかない堆肥舎を発酵消毒した場合であっても、そのまま継続利用していただいて差し支えありません。

堆肥舎が1つしかないことのみをもって、消毒を不要とする取扱いはできませんのでご注意ください。

4-26 畜舎等の消毒はどのように行えばよいのか。殺処分対象外となった豚等がいる場合、消毒の徹底ができない。

畜舎等の消毒は、環境中のウイルス濃度の低減のために行うものであることから、患畜等の所在していた場所(畜房)について、徹底する必要があります。

また、哺乳豚及びワクチン免疫が成立していない離乳豚が飼養される可能性のある畜舎については特に消毒を徹底する必要があります。

したがって、消毒の実施に当たっては、患畜等が所在していた畜房についてはあらかじめ空房とすることとし、分娩畜舎や離乳畜舎については、あらかじめ空舎にした上で、消毒を徹底することを基本としてください。

空房又は空舎にするためには、当該畜房又は畜舎において殺処分から除外された豚等を移動させる必要があるため、これらの豚等について、殺処分範囲の決定時までにあらかじめ、① 隔離畜舎や他の空房等、他の豚等と接触しない場所に移動させるか、② まん延防止に必要な豚等として殺処分することにより、空舎又は空房にすることを基本とし、豚等が残ることをもって消毒が徹底できない状況が生じることのないようにしてください。

それ以外のウイルスにより汚染した可能性が低い場所については、交差汚染防止対策として、畜舎入口や通路等の共用部分を重点的に可能な限り消毒を実施することとしてください。

なお、消毒は殺処分及び死体等の処理の完了以降に開始するものとし、1週間間隔で3回以上実施することとしてください(畜舎ごとなど、消毒を実施しようとする場所単位で患畜等の死体が存在しなくなり、適切に消毒実施できる状況になったら、他の場所の状況に関わらず着手して差し支えありません。)。

4-27 患畜確認後も順次新たに子豚が生まれてくるが、畜舎等の消毒はいつから実施すればよいのか。特に、患畜確認後も子豚が生まれてくる畜舎について、どの段階で3回目の消毒が完了したと捉えればよいのか。

畜舎等の消毒は、患畜確認時点で飼養されている豚等のうち、必要と認められる全ての豚等の殺処分が完了し、原則としてこれらの豚等の死体等の処理が完了時点から実施可能です。

飼養を継続する繁殖豚からは順次子豚が生まれてくることも想定されますが、このような豚等が飼養されている畜舎等において、子豚が生まれる都度消毒回数をリセットする必要はなく、同一畜舎等について、少なくとも3回消毒されていれば問題はありません。

なお、新たに生まれてくる子豚が所在した場所については、ワクチン免疫が十分付与されていると考えられる繁殖豚しか飼養されない場合、必ずしも1週間間隔で3回消毒する必要はありません。(消毒が必ずしも不要というわけではありません。4-25 参照。)。

4-28 おが粉畜舎はどのように消毒すればよいのか。

おが粉畜舎は、敷料に豚等の排せつ物等が吸着される仕組みであり、十分な発酵熱の発生は想定しにくいことから、患畜等が所在していたおが粉畜舎には、汚染物品がそのまま残り続ける可能性が高いと考えられます。

このため、おが粉畜舎において患畜等が確認された場合や離乳舎等がおが粉畜舎の場合にあっては、原則として中の敷料等について全て畜舎外に搬出し、焼却又は埋却により処理することとしてください。その上で、空舎にして1週間間隔で3回の畜舎全体の消毒を徹底してください。

畜舎外に敷料等を搬出することが困難な場合は、畜舎全体を封じ込めた上で発酵消毒により処理することとしてください。

なお、おが粉畜舎で飼養される豚等について、殺処分から除外できるものであっても、他の畜舎等に移動できずおが粉畜舎を空舎にできない場合は、あらかじめ殺処分の対象とするようにしてください。

4-29 畜舎が1つしかない場合、殺処分や消毒はどのように行えばよいのか。

畜舎が1つしかない場合であっても、原則として殺処分の範囲の考え方は変わりません。

一方で、空き畜舎がないため、発生畜舎を空舎にすることは困難であることから、消毒を徹底するためにどのような殺処分範囲にするべきかについては、畜舎構造等を踏まえて個別に判断する必要があるため、農林水産省(動物衛生課)まで相談してください。

なお、消毒が徹底できないと判断された場合には、やむを得ず結果的に全頭殺処分となる可能性もあるので、ご承知おきください。

4-30 法第25 条において、患畜若しくは疑似患畜又はこれらの死体の所在した畜舎等について消毒を実施しなければならないことになっており、防疫指針第7-2の5においては、患畜又は殺処分の対象となった疑似患畜の所在した畜舎等の消毒を指示することとされている。いかなる場合でも殺処分を実施した畜房について、1週間間隔の消毒を実施しなければならないのか。

畜舎等の消毒は、農場の清浄化に向けてウイルスを除去するために実施するものです。このため、まずは実施できる範囲で幅広く実施することを検討いただきたいと考えています。

一方で、1週間間隔で少なくとも3回の消毒を実施すべきなのは、続発防止等の観点から、基本的には以下の場所となります。① ウイルスに汚染したおそれがある場所(畜房、糞尿処理施設等)② ①にかかわらず、ワクチン免疫が成立していない豚が飼養される可能性がある畜舎・畜房(分娩舎、離乳舎等)

このため、○ 殺処分後、繁殖豚等、明らかに免疫が付与されていると考えられる豚等しか飼養されない場所(ウイルス増幅のリスクがない場所)○ 殺処分した豚等、人・物品の移動状況等からウイルスに汚染されたおそれがないと考えられる場所は、必ずしも1週間間隔で少なくとも3回の消毒を実施する必要はありません。

なお、法や防疫指針に基づき、患畜や殺処分を実施した疑似患畜がいた畜舎等については消毒が必要であるため、異状の見られない発育不良豚の豚房など、殺処分を行った畜房等の消毒は行わない場合でも、交差汚染防止のため、畜舎等の出入口等の消毒は必要となります。

4-31 ワクチン接種後20 日を経過していない子豚(殺処分対象の豚等)と経過済みの肥育豚が混在する畜舎において、殺処分頭数を減らすために前問と同様に、ワクチン接種後20 日を経過した豚等をできるだけ殺処分対象の豚等と接触しないようにするので、空舎にせず消毒を実施してよいか。

繁殖豚と異なり、肥育豚については、ワクチン接種後20 日を経過していれば必ずワクチン免疫が成立しているとは限りません。このため、単に殺処分頭数を減らすという目的のみであれば、空舎にすることを優先してください。

ワクチン免疫が成立されるまでの間に飼養される豚等が存在すると見込まれる畜舎を原則として空舎とする目的は、ウイルスを排出している可能性のある豚等を畜舎内に存在させないとともに、続発防止に万全を期すために消毒を徹底することであり、続発防止は何よりも優先すべきであることを踏まえ、適切な防疫計画をご検討ください。

特に、分娩舎や離乳舎等、ワクチン免疫が付与されるまでの間に飼養されると見込まれる畜舎等については、特別な事情(飼養期間が長く、畜房によっては100日齢を超える豚が飼養されるなど)がない限り、消毒の徹底が必要であることから、原則として空舎にすることを徹底してください。

なお、どうしても空舎にできない理由がある場合には、まずは動物衛生課までご相談ください。

4-32 選択的殺処分において、どのような状況になったら防疫措置の完了となるのか。

殺処分、患畜等の死体の処理、汚染物品の処理及び3回目の畜舎等の消毒が全て完了した時点で、防疫措置の完了となります。

4-33 疫学関連家畜飼養農場における防疫措置の完了をどう考えたらよいか。監視プログラムの適用を受けることになるため、防疫措置が完了するまで豚等の出荷ができないが、殺処分が行われておらず、具体的な防疫措置が想定されない。

農場内で豚熱ウイルスの存在が確認されず、汚染物品も存在しない場合には、防疫措置を一切行わないこととなります。

このとき、防疫措置が不要と判断された時点で、この疫学関連家畜を飼養する農場の防疫措置が完了したものとみなして差し支えありません。

なお、監視プログラム適用期間中のと畜場への出荷は、発生農場の防疫措置が完了しているかどうかにかかわりません。

4-34 全頭殺処分の時は1回目の畜舎等の消毒が完了したら防疫措置の完了とされていた。なぜ選択的殺処分においては、1回目ではなく3回目の消毒完了時点で防疫措置の完了となるのか。その違いは何か。

選択的殺処分は、監視プログラムの実施期間を通じて農場の清浄化を図るものであるため、防疫指針で最低限実施を求めている3回目の消毒が終わった段階で出生子豚が疑似患畜となることや汚染物品の発生がなくなり、初めて一定のまん延防止措置が完了したと考えられることから、このような整理としています。

なお、全頭殺処分では、全ての飼養家畜の殺処分等を実施した上で、初回の消毒が完了した段階で、新たな疑似患畜や汚染物品の発生が想定されなくなるため、一区切りとして、防疫措置の完了と定義していますが、防疫措置の完了後も最低3回は畜舎等の消毒を実施する必要があることは、選択的殺処分と同じです。

4-35 留意事項36 において、と畜場から異常豚がいる旨の届出がされた場合にと畜を中止するのは当該異常豚のみとなっているが、同一の農場から出荷された豚等のと畜は中止しなくてよいのか。中止しなくてよい場合、家畜防疫員が当該同一の農場から出荷された豚等について臨床検査を行い、異状が確認されなければ、動物衛生課と協議を経ずにと畜してもよいか。

異常豚と同一の農場から出荷された豚等については、臨床上、豚熱を疑う症状がないなど、異状が認められなければ、豚熱ウイルスを増幅させ、他の豚等に伝播させる可能性が引くと考えられることから、一律にと畜を中止することとしていません。

このため、これらの豚等については、異常豚でないことの確認を家畜防疫員が行った上でと畜場法に基づくと畜検査に合格すれば、動物衛生課に協議することなく食肉として流通させることが可能となります(相談はお受けします。)。

4-36 留意事項36 において、と畜場から異常豚がいる旨の届出がされた時点から、新たな畜産関係車両の入場を自粛することとされているが、畜産関係車両の入場を再開できるのはいつの時点からか。

畜産関係車両の入場を再開できるようになるのは、① 異常豚が患畜又は疑似患畜でないと判定された時点又は② 異常豚が仮に患畜となった場合にウイルスに汚染されたおそれがある場所の消毒等が完了した時点となります。

1の②については、患畜であるかどうか判定される前から実施可能です。

4-37 農場から異常豚の届出がなされた場合に、異常豚の届出がなされた農場から出荷された豚等がと畜前だった場合、当該豚等についてと畜を中止しなくてよいのか。

と畜場において異状を呈している豚等が存在しないのであれば、出荷元農場と同一の農場の豚等も含め、と畜の中止も、新たな畜産関係車両の入場自粛も不要です。

一方で、同一の農場の豚等を含め、搬入されている全ての豚等について、万が一異状を呈している豚等がいないかどうか、臨床症状をよく確認してください。

4-38 と畜場で患畜が確認された場合の防疫措置の流れについて教えてほしい。

と畜場で患畜が確認された場合も、その後の基本的な流れは農場で患畜が確認された場合と大きく変わりません。

具体的には、① 疑似患畜及び疫学関連家畜の特定(防疫指針に基づき実施)② 殺処分範囲の決定(患畜、疑似患畜又は疫学関連家畜が飼養されている農場における拡散状況確認検査の実施)③ 防疫措置の実施④ 患畜、疑似患畜又は疫学関連家畜を飼養する又は飼養していた農場に対する監視プログラムの適用という流れになります。

なお、殺処分範囲の決定に当たっては、出荷元農場にも疑似患畜となり得る豚等が存在する点に留意してください。また、防疫措置の実施に当たっては、患畜(異常豚)が病性鑑定の過程でと畜場に残らないことから、多くの場合で殺処分、患畜等の死体の処理が生じないことを想定しています。

4-39 と畜場で豚熱が発生し、防疫措置完了後、と畜を再開するに当たって、と畜ラインの消毒は必要か。

異常豚の届出から防疫措置までの一連の措置が適切に講じられれば、と畜ラインに持ち込まれるのはと畜検査に合格した豚等のみであるため、特別な事情がない限り、と畜ラインがウイルスに触れることはないと考えられることから、と畜ラインの消毒は不要です。

4-40 と畜場で豚熱が発生した場合、患畜確認時点でと畜場に存在すると畜済みの豚肉の取扱いをどうしたらよいか。

と畜場法に基づくと畜検査に合格した豚等由来の豚肉は食用に供することが可能な豚肉であるため、食肉として流通させて差し支えありません。5.緊急ワクチンについて

5.緊急ワクチンについて

5-1 緊急ワクチン接種は何のために行うのか。また、その対象はどのような豚等か。

緊急ワクチンは、発生農場において殺処分から除外された豚等について、万が一ウイルスに暴露した時であっても発症予防ができるよう、緊急的に追加ワクチンを単回接種するものです。

緊急ワクチン接種の対象は、特別な事情がない限り、患畜の病性等判定日から遡って10 日目の日から緊急ワクチン接種を実施するまでの間に患畜又は豚熱感染が疑われる症状を呈しPCR 陽性となった豚等と同一の畜舎で飼養されていた豚等(繁殖豚を除きます。)となります。

都道府県は、緊急ワクチン接種の対象豚を速やかに特定し、動物衛生課と協議の上、接種範囲を速やかに確定するとともに、防疫措置の実施状況に関わらず迅速に接種を行う必要があります(留意事項80)。

なお、通常のワクチン接種プログラム等により、緊急ワクチンの接種予定日から20 日以内にワクチンを接種している豚等は対象外となる点に留意してください(留意事項80)。

5-2 緊急ワクチン接種は家畜防疫員しかできないのか。

緊急ワクチン接種は、家畜防疫員のほか、家畜防疫員の指導・監督の下、知事認定獣医師や登録飼養衛生管理者が実施して差し支えありません。

5-3 個体管理をしていないため、同一畜房において、緊急ワクチン接種の対象豚と非対象豚が混在してしまい、接種すべき豚等を特定できない。どのように対応したらよいか。

緊急ワクチンは、ウイルスに暴露する可能性のある豚等に対して、万が一に備えて追加的に接種するものであるため、接種対象の豚等が特定できない場合には、その豚等が含まれる最小の範囲(豚群)の全ての豚等に対して緊急ワクチン接種を実施してください。

5-4 殺処分対象とならなかった全ての豚等に対して緊急ワクチンをすることは可能か。

緊急ワクチンは追加的に免疫を付与できる可能性があるという利点の一方、作業者の豚房内への立入りや注射針を介してウイルスを伝播させてしまうリスクがあります。

このため、緊急ワクチンの対象はウイルスが暴露する可能性がある豚等に限定しており、生産者から希望があったとしても、殺処分対象とならなかった豚全頭を緊急ワクチンの対象とすることはできません。

緊急接種に当たっては、注射針を介したウイルスの伝播を防止するため、飼養衛生管理基準で定められているように、少なくとも畜房ごとに注射針の交換を徹底してください。

また、緊急接種を行う者は、手袋や更衣等、交差汚染防止対策を徹底する必要があります。

なお、現在接種されている生ワクチンにいわゆるブースター効果はないため、既に十分なワクチン免疫が付与されている豚等については、追加的な効果は期待できません。

5-5 緊急ワクチン接種の法的位置づけについて教えてほしい。

緊急ワクチンは、法第31 条の規定に基づき実施することになります。

5-6 緊急ワクチン接種の実施に当たり、手数料を徴収することは可能か。

都道府県の判断で手数料を徴収して差し支えありません。

5-7 緊急ワクチン接種を実施するために必要な費用は、家畜伝染病予防費負担金の交付対象となるか。

法第31 条の規定に基づく措置を講ずるために要した費用であるため、交付対象となります。6.監視プログラムについて

6.監視プログラムについて

6-1 監視プログラムとは何か。

選択的殺処分により、適切なワクチン接種により免疫を付与されたとみられ、臨床上異状がない豚等については殺処分から除外されることとなりますが、患畜と疫学的な関連を有する豚等については、豚熱が続発する可能性が否定できません。

このため、こうした豚等を飼養する農場において、一定期間移動制限措置を講じ、豚熱ウイルスの農場間伝播を防止するとともに、毎日の報告徴求により、続発を直ちに摘発する必要があります。

このうち、患畜が飼養されていた農場については、続発を防止するため、新規発生時の発生要因を踏まえた再発防止措置を速やかに講ずることが重要となります。

例えば、感染イノシシが農場近傍に継続的に確認される農場においては、野生イノシシを含めた野生動物の侵入防止対策を改善・強化することについて検討・実施いただく必要があります。

都道府県は、新規発生後、こうした農場での続発を防ぐため、地域の関係者とも連携して、発生農場だけでなく、地域一体となって野生イノシシ対策を強化することが重要となります。

このほか、飼養衛生管理基準の不遵守項目がある農場においては、速やかに不遵守項目の改善を図る必要があります。

このため、都道府県は、報告徴求の実施状況も踏まえながら、管理獣医師とも協力するよう努め、定期的にこうした農場への立入検査を実施して、改善状況等の確認、指導をお願いいたします。

6-2 移動制限は、いつから、何を対象に措置すればよいのか。

監視プログラムは、患畜、殺処分の対象となった疑似患畜、患畜が飼養されている農場において殺処分の対象から除外された豚等又は疫学関連家畜の飼養農場(以下「監視プログラム適用農場」といいます。)に対して適用されることとなります。

監視プログラムのうち、移動制限については、患畜が確認された時点から講じる必要があります。

また、移動制限の対象は以下のとおりです。① 生きた豚等② 精液等③ 豚等の死体④ 豚等の排せつ物等(胎盤を含む。)⑤ 敷料、飼料及び家畜飼養器具(適切に消毒されたもの及び農場以外から移動されるものを除きます。)

6-3 移動制限の期間はいつまでか。

移動制限は、原則として、① 患畜の病性等判定日から90 日が経過し、かつ、② 発生農場の防疫措置の完了から28 日が経過した日までとなります。

6-4 3か月の移動制限は長すぎる。期間を短縮することはできないのか。

6-3 に示したように、移動制限の期間は概ね3か月程度ですが、一定の条件を満たせば、患畜の病性等判定日から90 日が経過しているか否かにかかわらず、防疫措置が完了した日から28 日が経過する日まで移動制限の終期を短縮することができます。

具体的には、防疫措置が完了してから28 日が経過する日までに当該農場において豚熱が続発しなかった場合には、移動制限期間の終期を短縮することが可能です。

なお、防疫措置が完了した日以降は、監視プログラム適用下であっても、と畜場への出荷等が可能となります。

6-5 制限の対象外として、肥育豚のと畜場への出荷が認められているが、どのような条件で移動させることができるのか。

出荷予定の豚等に異状が認められず、出荷しようとすると畜場において、交差汚染防止対策が適切に実施されている場合には、監視プログラム適用農場で飼養されている、出荷適期を超えた日齢以降の肥育豚を当該と畜場に出荷することが可能です(留意事項81)。

この場合の出荷適期は、制限の対象外として出荷させようとする豚等の飼養農場が、通常、豚等を出荷する際の出荷日齢とし、少なくとも121 日齢以上の豚等としてください。

この場合、監視プログラム適用農場から、1か月程度の出荷計画を事前に家畜保健衛生所に提出した上で、出荷の都度、臨床上異状が認められなかったため出荷する旨などについて報告し、家畜保健衛生所に出荷の許可を得る必要があります(留意事項81)。

都道府県は、出荷に当たり、農林水産省(動物衛生課)に協議を行う必要があります(留意事項81)。

6-6 風評被害等によって肥育豚等の出荷が滞ることはないか。

選択的殺処分の導入に当たっては、科学的見地から十分議論を重ねた上で、ワクチンに十分な効果があることが確認され、適切なワクチン接種により免疫を獲得した症状のない豚等は一定の管理を行うことにより、まん延リスクにはならないとの結論を得たところです。また、豚熱ウイルスが人への感染を起こすことはありません。

と畜場に出荷される豚等は、適切にワクチンが接種されていることに加えて、報告徴求により臨床上異状がないことが確認されていることから、的確なリスク管理措置により豚熱のまん延リスクにならないことは明らかであり、豚熱の発生農場であることのみの理由をもってと畜場への搬入を拒まれるべきものではありません。

農林水産省としては、と畜場等の関係者に対し、的確なリスク管理措置が講じられており、と畜場においてウイルスの拡散が防止されていること等について丁寧に説明を重ねてまいります。都道府県をはじめ、関係者においても、このことをよく理解の上、と畜場関係者が安心してこうした豚等を受け入れできるよう、連携いただきたいと考えています。

6-7 監視プログラム適用農場からと畜場に豚を出荷するに当たり、と畜場における交差汚染防止対策として当該農場から豚を受け入れる際の専用日時を設定するよう求められているが、設定できない場合どうしたらよいか。

防疫指針(留意事項82)において、と畜場で実施すべき交差汚染防止対策の1つとして、監視プログラム適用農場からの豚等の受入れ専用日時を原則として設けることとしているが、必須の取組ではなく、設定可能なと畜場においては設定いただきたい。

設定できないと畜場においては、監視プログラム適用農場からの豚等の受入日程を確実に把握するとともに、他の農場等からの豚等と交差することの無いよう、交差汚染防止を徹底してください。

6-8 監視プログラム適用農場からワクチン接種区域内の他の都道府県のと畜場に豚を出荷するに当たり、他の都道府県の衛生部局への情報提供は必須か。

どこの農場から出荷がされるかという情報は基本的にと畜場が有していること、出荷に当たり、事前に出荷先のと畜場が所在する家畜保健衛生所が消毒状況等を確認することになっているため、家畜衛生部局には情報が提供されることとなりますので、衛生部局への情報提供は必須ではありません。

無用のトラブルを避けるため、日ごろから他の都道府県のと畜場に出荷する農場が複数認められる場合には、当該と畜場の所在する都道府県と緊密に連携を図るよう努めてください。

この場合の連携は、自県の衛生部局や出荷先都道府県の家畜衛生部局への情報提供が考えられますが、各都道府県の状況に応じて適切に実施いただければと思います。

6-9 制限の対象外として、子豚の肥育農場への移動が認められているが、どのような条件で移動させることができるのか。

移動予定の豚等(肥育豚に限る。以下この問において同じ。)に異状が認められず、移動しようとする農場において、原則としてワクチン接種後20 日を経過していない豚等が飼養されていない場合には、監視プログラム適用農場で飼養されている豚等を当該農場に移動することが可能です(留意事項81)。

この場合、監視プログラム適用農場から、1か月程度の移動計画を事前に家畜保健衛生所に提出した上で、臨床上異状が認められなかったため移動する旨などについて報告し、家畜保健衛生所に移動の許可を得る必要があります(留意事項81)。

都道府県は、移動に当たり、農林水産省(動物衛生課)に協議を行う必要があります(留意事項81)。

なお、移動先の農場については、監視プログラム適用農場から生きた豚等を受け入れた場合には、当該監視プログラム適用農場と併せて、監視プログラムの適用を受けることとなります(留意事項81)。このため、豚等の移動が県をまたぐときは、農場に移動の意向があると移動元の都道府県が把握した時点で、移動先の都道府県に連絡し、調整を行ってください。

6-10 ピッグフロー上、繁殖農場から肥育農場への子豚の移動は離乳日であり、ワクチン接種から20 日経過しない。移動できない場合、繁殖農場では飼養を継続できないがどうしたらよいか。

ワクチン接種後20 日間、監視プログラム適用農場から子豚を移動させないと飼養を継続できない場合は、まずは動物衛生課までご相談ください。

子豚の移動に当たっては、ワクチン免疫が成立している可能性が高い豚等(接種後20 日以上経過した豚等)をワクチン免疫が成立していない豚等が飼養されていない農場に移動させることが最もリスクが少ないと考えています。

このため、原則としてワクチン接種後20 日以上経過した豚等の移動を制限の対象外としていますが、ワクチン接種後20 日以上経過していないからといって、必ず移動が不可能となるわけではありません。

個別事例ごとに追加措置の要否等も検討しながら対応を決定したいと考えています。

6-11 制限の対象外として、子豚を肥育農場に移動させた場合、当該肥育農場も監視プログラムを適用することとなるが、適用期間はいつからいつまでか。また、解除はどのように行うのか。

制限の対象外として肥育農場に子豚を移動させた場合の、移動先農場の監視プログラム適用期間は、子豚を搬入した日から、移動元農場のもともとの監視プログラムの終期までとなります。

具体的には、① 移動元農場において患畜の病性等判定日から90 日が経過し、かつ、② 移動元農場において防疫措置が完了した日から28 日が経過した日までとなります。

6-12 精液等を他の農場へ移動させたいが、どのような条件で移動させることができるのか。

精液等を保管する場合には区分管理等の適切な対応が実施されている前提において、移動させようとする精液等の由来となった豚等から移動日から遡って3日以内に採材した血液(精液については、精液そのものでも可ですが、実施する場合には、検査前に都道府県は国にご相談ください。)のPCR 検査を行い、陰性が確認されている場合、他の農場に精液等を移動させることが可能です(留意事項81)。

この場合、都道府県は事前に農林水産省(動物衛生課)に協議をする必要があります(留意事項81)。このため、精液等の移動が都道府県の区域をまたぐときは、農場に移動の意向があると移動元の都道府県が把握した時点で、移動先の都道府県に連絡し、調整を行ってください。

6-13 死体や堆肥等を農場の外へ移動させたいが、どのような条件で移動させることができるのか

監視プログラム適用農場において飼養する豚等に異状が認められない場合であって、当該農場において講じ得る全ての対応を実施してもなお、死体や堆肥等を移動させなければ豚等の飼養の継続が困難になるときなどに限り、農場の外に死体や堆肥等を移動させることが可能です(留意事項81)。

この場合、移動日又は移動日の前日の夜に、監視プログラム適用農場から、臨床上異状が認められなかったため移動する旨などについて報告し、家畜保健衛生所に移動の許可を得る必要があります(留意事項81)。

移動に当たっては、飛散防止措置や移動先の施設における交差汚染防止対策を徹底する必要がありますが、特に死体については、可能な限り多くの他の畜産農家が利用する化製場等への移動を避け、他の畜産農家と交差する可能性がない又は少ない産廃処理施設への移動を検討してください。

都道府県は、移動に当たり、農林水産省(動物衛生課)に協議を行う必要があります(留意事項81)。このため、死体等の移動が都道府県の区域をまたぐときは、農場に移動の意向があると移動元の都道府県が把握した時点で、移動先の都道府県に連絡し、調整を行ってください。

6-14 監視プログラム適用農場に他の農場から豚等を導入してもよいか。また、飼料や敷料を外部から導入するための条件はあるのか。

監視プログラム適用農場に精液等、飼料、敷料を外部から導入することは可能であり、特別な条件は課されません。ただし、生きた豚等については、防疫措置の完了後に導入が可能となるとともに、導入した豚等も監視プログラムに基づき、毎日の報告徴求の対象となりますので、留意してください。

ただし、精液等(精液、受精卵等の生産物をいいます。)については、毎日の飼養衛生管理に必ずしも必要なものではないため、導入の必要性を十分検討の上、やむを得ず導入しなければならない場合を除き、導入を控えてください。

なお、飼養衛生管理基準に基づき、出入りする車両等の消毒等、交差汚染防止対策に万全を期すこととしてください。

6-15 監視プログラム適用期間中に畜舎等の改修等の工事を実施してもよいか。

防疫措置の完了後であれば、監視プログラム適用期間中であっても、畜舎等の改修等の工事を実施して差し支えありません。

工事の実施に当たり、特別な措置を講じる必要はありませんが、飼養衛生管理基準に基づき、農場に出入りする者に対して消毒や専用衣服・靴等の交換を徹底するなどの措置を確実に講じてください。また、都道府県は、工事業者が他の豚等を飼養する農場への立ち入りを避けるよう指導してください。

6-16 監視プログラム適用期間中、農場の従業員は日常生活に制限を受けることになるのか。

監視プログラム適用期間中であっても農場の従業員に対して、日常生活に特段の制限がかかることはありません。

しかしながら、監視期間中であることを全ての従業員が正しく認識することが重要であり、可能であれば(特に防疫措置が完了するまでの間については)、生産者同士の対面の会合などへの出席は避けることが望ましいと考えています。

6-17 監視プログラム適用期間中に実施する報告徴求について、報告を求める事項は何か。

都道府県は、毎日の報告徴求として、監視プログラム適用農場に対して、特定症状などの豚熱感染を疑う症状の有無、死亡した豚等の頭数及び死亡した豚等と同居する豚等の臨床症状、流死産した子豚の頭数等に加えて、分娩・出産した子豚の頭数、導入した豚等の頭数、異常産した母豚の頭数等について報告を求めてください。

また、都道府県は、報告を求めるべき事項についての指導と併せて、監視プログラム適用農場が発生農場であることなどに鑑み、飼養衛生管理基準の遵守について指導を徹底するようにしてください。

具体的には、飼養衛生管理基準の不遵守事項について、期限を定めて改善を図るよう指導するとともに、監視プログラム適用農場に対して少なくともソフト面での改善状況の報告を求め、その改善状況について定期的に確認するようにしてください。

また、野生イノシシの侵入防止対策や、ワクチン免疫を獲得するまで発生リスクとなりやすい分娩舎や離乳舎における衛生対策などについて、十分指導するようにしてください。

報告徴求やこれらの指導は、続発を確実に摘発し、地域における豚熱のまん延を防ぐために実施するものであり、極めて重要です。都道府県は、当該農場の豚等の所有者や飼養衛生管理者と密接にコミュニケーションを取るとともに、日ごろから当該農場の豚等の状態に精通している管理獣医師と緊密に連携を取り、助言を得るなどにより、報告徴求等を的確に実施してください。

6-18 監視プログラム適用期間中、必要に応じて当該農場に立ち入り、その履行状況を監視することとされているが、どのような場合に立入検査を実施するべきか。

監視プログラム適用期間は基本的に概ね3か月と長期に渡るため、まん延防止に万全を期すためには、監視プログラム適用期間中の臨床症状の確認が非常に重要であり、その根幹を為すのは農場からの毎日の報告徴求です。

このため、農場から報告がなされない場合などには、躊躇なく立入検査を行い、農場の臨床症状を確認する必要があります。

加えて、毎日農場から報告がなされており、異状があった旨の報告がなかったとしても、定期的に農場に立ち入り、家畜防疫員や農場を担当する管理獣医師等の第三者の目により、農場の臨床症状を確認されることが望ましいと考えます。

具体的には、農場からの報告状況等を踏まえ、可能であれば月に一度程度の頻度で、農場への立入検査を実施するよう努めてください。

6-19 監視プログラム適用期間中に飼養する豚等に異状が生じた場合の立入検査(緊急病性鑑定)は新規発生時と同様の対応でよいか。

監視プログラム適用期間中に飼養する豚等に異状が生じた場合には、新規発生時と同様の対応を行う必要があります。

異状を呈している豚等が発見された旨の連絡を受けた家畜防疫員は、直ちに農場に立ち入り、臨床検査を行うとともに、異常豚に対して血液検査、ELISA 検査及びPCR 検査を実施してください。

臨床上異状が確認され、PCR 検査が陽性となった豚等は疑似患畜と判定され、殺処分の対象となります。また、新規発生時と同様に拡散状況確認検査を実施して殺処分の範囲を確定させ、原則として、新規発生時と同様の防疫措置を実施してください。

6-20 続発時は原則として新規発生時と同様、ワクチン免疫が成立していない豚等を殺処分することとしているが、これらの豚等はいかなる場合でも殺処分しなければならないのか。

続発により、新たなウイルスの存在が明らかになっていますので、その時点でワクチン免疫が成立していないワクチン未接種又は接種後20 日を経過していない豚等については、まん延のリスクとなることから、改めて殺処分することが原則となります。

一方、続発時にPCR 陽性豚が1頭しか摘発されないなど、極めて感染が限局しており、かつ、出荷間際の肥育豚や哺乳豚と接触しない状態の種雄豚や繁殖母豚(候補豚を含みます。)で発生した場合であって、ワクチン免疫が成立していないと考えられる豚等が飼養されている畜舎(分娩舎や離乳舎等)と感染が確認された畜舎が飼養衛生管理の状況等から判断して確実に隔離されていると認められている場合にあっては、必ずしも殺処分対象としなくて差し支えありません。

当然、この場合には、ワクチン免疫が成立していないと考えられる豚等について異状が認められないことが必要です。いずれにせよ、少しでもリスクがあると考えられた場合には、ワクチン未接種の豚等や接種後間もない豚等について殺処分対象とすることが妥当だと考えます。

6-21 複数回続発し、いつまでも監視プログラムが解除できそうにないがどうしたらよいか。

患畜確認後にどれだけ殺処分や消毒を徹底しても続発する可能性は否定しきれませんが、複数回続発する場合には、通常想定される選択的殺処分の運用では、まん延防止に万全を期すことが困難な状況になっていることが想定されます。

このため、さらに繰り返し続発することを避けるため、複数回続発が認められた場合には、繁殖豚を除く全ての肥育豚の殺処分を検討し、農場の早期の清浄化を図ることが必要です。

都道府県は、この点を踏まえ、まん延防止に万全を期すことができるよう、殺処分の範囲を決定するとともに、防疫措置を徹底する必要があります。

6-22 監視プログラムの解除に当たってどのような検査を行うのか。

都道府県は、監視プログラムの解除に当たり、監視プログラム適用期間が終了する2日前以降に、監視プログラム解除検査として、拡散状況確認検査と同様の検査を実施してください。

具体的には、まずは発生農場で飼養されている全ての豚等を対象に臨床検査を行い、臨床検査において豚熱感染を疑う症状が認められた全ての豚等に対して、血液検査、ELISA 検査及びPCR 検査を実施する必要があります。

拡散状況確認検査と同様、この検査においても、まん延リスクとなる豚等をしっかりと摘発することが重要になります。このため、臨床検査において、少しでも豚熱感染が疑われる豚等については、全てPCR 検査等を実施してください。

検査の実施に当たっては、農場における通常の臨床症状を把握することが重要となるため、豚等の所有者、飼養衛生管理者、管理獣医師等、通常の状態をよく把握している者から可能な限り助言を受けるよう努めてください。また、検査にこれらの者の同行を求めることも有効です。

全ての豚等について、検査陰性となり、監視プログラム適用期間が終了したときには、都道府県は農林水産省(動物衛生課)に協議の上、監視プログラムを解除することとなります。7.その他

7.その他

7-1 発生時になぜ特別手当金が交付されないのか。特に、ワクチン接種が適切に実施されておらず、全頭殺処分となった場合は、経営に与える影響が大きいので、特別交付金を交付するべきではないのか。

特別手当金は、口蹄疫やアフリカ豚熱等、家畜伝染病(法定伝染病)のうち、特に病原性や伝播力が強く、強制的に全頭殺処分が行われる疾病の発生時に、もともとの疑似患畜に対する評価額の5分の4の手当金に加え、5分の1の特別手当金を交付することで、当該疑似患畜に対して、評価額の5分の5を交付するものです。

こうした取扱いとしているのは、これらの疾病の伝播力や病原性が特に強いだけでなく、十分な効果が期待できるワクチンなど、まん延を防止するための有効な予防策がないことによるものであり、疾病が発生し、全頭殺処分が実施され、経営に大きな影響が生じたとしても確実に経営再開できるよう、評価額の5分の5を支援することを通じて、適切な早期通報を促しています。

一方、ワクチン接種地域における豚熱については、適切なワクチン接種による予防が可能であるため、急速なまん延による家畜への甚大な被害や、畜産業への重大な影響の予防は必ずしも不可能ではないことから、特別交付金を交付すべきではないと考えています。

また、選択的殺処分の導入により、都道府県の指示に従ってワクチン接種を実施していれば、全頭殺処分となる可能性は極めて低いと考えられます。

こうしたことを踏まえると、ワクチン接種地域における豚熱については、結果的に全頭殺処分となった発生農場に対しても、特別交付金を交付することは適当ではないと考えています。

都道府県においては、この考え方も含め、管内の生産者に指導を徹底し、ワクチン接種が適切に実施されるよう、引き続き的確な対応をお願いします。

7-2 防疫措置の完了までに新たに生まれてくる子豚を殺処分する際の手当金の評価はどのように行えばよいか。毎日のように生まれてくるが、都度現地で評価人が殺処分されたことを確認の上で評価しなければならないのか。また、評価額の算定はどのように行えばよいか。

患畜確認後に新たに生まれた豚等であっても、手当金の評価は、他の疑似患畜と同じように実施することが原則となります。

一方、毎日分娩され、都度評価人を参集することが現実的でない場合は、殺処分直後の豚等を写真撮影するなどにより、後日一括して評価して差し支えありません。

この場合、殺処分後の豚等の標識を徹底することや、写真撮影時の体の向きを統一することなど、個体が特定できるような工夫が必要です。万が一、個体が特定できない場合、手当金を交付することが困難となりますので、ご注意ください。

評価額の算定は、評価対象の豚等が患畜又は疑似患畜であることが確認される前の状態であるものとして行われるべきであるため、生み落とし価格(全算入生産費×9%)を用いることが適当と考えます。

なお、人工流産を行う場合については、出生後直ちに疑似患畜として法第17 条の規定に基づき殺処分が行われるべきものであり、疑似患畜となっていなければ正常に分娩されることが見込まれることから、原則として生み落とし価格により評価額を算定し、母豚の受胎加算としての算定は行わないことが適当と考えます。

7-3 防疫措置が完了するまで豚を農場の外に移動できないと、畜舎の収容能力が不足して飼養を継続できない豚が生じる可能性があるがどうしたらよいか。また、大貫出荷となり適期での出荷と比べて取引価格も少なくなるが、補償はないのか。

防疫措置が完了するまでの間、発生農場においては全ての豚等に対して法第32条に基づき、移動制限措置が講じられており、この間にと畜場に豚等を出荷させることはできません。

これにより、やむを得ず飼養を継続できず自主的にとう汰した場合や、大貫出荷となり売上が低下した場合には、法第60 条第2項の規定に基づき、売上の低下額やかかり増し経費相当額について、支援を受けることが可能です。

7-4 以下の場合、殺処分した豚等に対して、手当金は交付されるのか。① 消毒を徹底するため、患畜が確認された畜舎から繁殖豚を肥育舎に移動させることを検討。肥育舎にはワクチン接種後20 日を経過した豚等のみが飼養されており、他に繁殖豚を移動させる場所はないため、単価の高い繁殖豚ではなく、肥育舎の当該豚等を殺処分することとした。② 患畜確認時点で既に出荷適期を迎えている肥育豚について、防疫措置完了のまで飼養を継続することができないため、やむを得ず殺処分した。③ 農家の経営判断とも一致するとともに、ワクチン接種後20 日を経過した豚等しか飼養されていない畜舎について、患畜が確認された畜舎と管理者が同一であったことやワクチン接種後30 日で比較的接種後間もないこと、複数畜舎でウイルスが確認されていることから、続発防止に万全を期すため、当該畜舎で飼養されている全ての豚等についてやむを得ず殺処分した。

手当金は、法第58 条各項に掲げられる場合に該当したときに交付されることとなります。状況によって自主とう汰と判断を迷う場合も考えられますが、まん延防止のために必要な殺処分であれば、法第17 条第1項の規定に基づき実施した殺処分となります(動物衛生課との協議を経て殺処分の範囲を決定した豚等は全て該当します。)。

したがって、①及び③の場合には手当金が交付されることとなります。これは、いずれもまん延防止のため殺処分が必要だと考えられることから、法第17 条の規定に基づく殺処分を実施すべきものと考えられることによります。

なお、③については、飼養状況等を踏まえまん延防止に必要と判断可能できるため、(法第17 第1 項の規定に基づく殺処分であることから)手当金の交付対象とできますが、発生農場の経営判断のみが殺処分の理由の場合、手当金の交付ができないことに留意してください。

一方、②については、まん延防止のための殺処分ではなく、防疫措置期間中は法第32 条の移動制限措置が講じられているため、飼養を継続できずやむを得ず殺処分するものであることから、法第17 条の規定に基づく殺処分とは認められず、手当金の交付対象とはなりません。

なお、②の場合、法第32 条の移動制限が原因で飼養が継続できなくなったと考えられることから、販売額の売上の減少額等について都道府県が負担する場合、法第60 条第2項の規定に基づき、国がその2分の1を負担することが可能です。

7-5 人工流産を行った場合で、娩出された胎子が死亡していた場合、殺処分という行為自体を実施していないが、手当金は交付されるのか。

人工流産は、防疫措置を円滑に行うため、法第17 条第1項の規定に基づく殺処分と同じ目的で体内にいる胎子に対して講じる措置であることから、娩出された胎子の生死にかかわらず、手当金の交付対象となります。

なお、娩出された胎子を現地又は写真等で確認できなければ、手当金を交付することは難しいと考えられますので、娩出後の胎子の確認が確実にできるよう、あらかじめ確認方法をご検討ください。

7-6 人工流産を行った場合で、胎子の数を毎回家畜防疫員が確認することは困難。平均産子数を用いて、手当金の額を算出することは可能か。

当該人工流産を行った繁殖豚から娩出された子豚の数が平均産子数を下回っていた場合、存在していない豚等に対して手当金を交付することになるため、不適当です。

また、分娩した頭数を確認することも難しいときがあると考えています。

娩出された胎子の数は、必ずしも毎回家畜防疫員が現地で確認する必要はなく、写真や動画を活用して娩出された胎子の数が確認できれば、手当金を交付することは可能と考えます。

一方、写真や動画を活用した場合、ダブルカウントが疑われる場合や画像が不鮮明で胎子自体が確認できない場合等には、手当金を交付できない可能性がありますので、事前に確実に娩出胎子を確認できる方法についてご検討ください。

7-7 人工流産を行った場合、使用した医薬品は家畜伝染病予防費負担金の対象となるか。また、使用に備えて備蓄した場合、同様に対象となるか。

豚熱発生時の人工流産は、法第17 条第1 項の規定に基づく殺処分と同じ目的で実施されることから、家畜伝染病予防費負担金の対象です。

一方、事前備蓄して活用しなかった場合は、家畜伝染病予防費負担金の対象とはなりませんので、ご注意ください。

7-8 殺処分対象頭数を少なくするため、ワクチン接種日齢を早めたいと考えているが可能か。

選択的殺処分の前提は適切なワクチン接種であり、接種適期に接種を行うことが最も重要であることから、合理的な理由なく、ワクチン接種日齢を早めることはできません。

免疫付与状況検査を積極的に実施いただき、結果を踏まえ都道府県と相談して適期に接種することを徹底してください。

都道府県の指示に従わず、接種日齢を農場の独断で早期にした場合、発生時に適切なワクチン接種をしていないとして全頭殺処分となる可能性がありますので、ご注意ください。

7-9 選択的殺処分の導入に伴い、生産者が事前に確保すべき埋却地の面積に変化はあるか。

飼養衛生管理基準に基づき確保しなければならない埋却地は、豚熱の発生のみに備えるものではなく、口蹄疫やアフリカ豚熱等、発生時に全頭殺処分する疾病に備えて確保いただくことになります。

このため、豚熱発生時に使用する埋却地面積は狭くなりますが、選択的殺処分が導入されても確保すべき埋却地面積に変化はありません。

7-10 指針本文第2-2において、豚等の所有者の取組として、選択的殺処分時の作業動線等の作成を行うよう求められているが、どの豚が患畜となるか分からない中、膨大な作業動線パターンを作成するのは困難と考えられる。どうしたらよいか。

選択的殺処分の実施に当たっては、事前に農場での豚等の飼養状況等を把握することが重要です。また、防疫措置の実施に当たり、殺処分の対象から除外された豚への感染拡大防止措置を効率よく図ることができるよう、事前に準備しておくことが重要です。

どの豚等が患畜となるか発生するまで分からないことは事実ですが、これまでの発生事例から、ワクチン接種農場においては、ワクチン未接種の豚や接種後間もない豚が患畜となっているケースがほとんどです。

大規模農場において、患畜確認後、効率よく円滑な防疫措置を実施するため、分娩舎や離乳舎など、発生するリスクが比較的高いと考えられる畜舎等で発生することを優先的に想定し、発生時の作業動線を可能な限り具体的に作成するようお願いします。

7-11 都道府県職員等、日ごろ農場に立ち入らない第三者が多数農場に立ち入って防疫措置を実施した後、未発生のPRRS 等の慢性疾病が確認された。その損害は補償されるのか。

発生時の殺処分の範囲によっては、日ごろ農場に立ち入らない者が防疫措置に従事することは十分想定されます。

しかしながら、防疫措置は、殺処分対象から除外された飼養を継続する豚等への感染拡大防止に最大限留留意して実施するとともに豚熱ウイルスの持ち出し防止のために完全な装備で農場に立ち入ることになります。

このため、防疫措置後に未発生の慢性疾病が侵入したとしても、防疫措置との間に明確な因果関係が証明されない限り、生じた損失を補償することは難しいと考えます。

都道府県におかれては、発生農場の不安を招くことの無いよう、従前の全頭殺処分実施時以上に、交差汚染防止対策の徹底に万全を期すため、防疫従事者に対する教育や訓練、演習等を徹底するよう、お願いいたします。

7-12 このQ&A に記載してある内容と異なる対応を講じた場合、何か罰則はあるのか。

本Q&A は、選択的殺処分の導入に伴い、管内生産者を指導する都道府県や、生産者を含めた関係者が可能な限りその運用について理解を深めることができるよう、都道府県に対する技術的助言の一環として示したものであり、法的強制力のあるものではありません。

一方で、本Q&A に記載していることは、家畜伝染病予防法や防疫指針、その留意事項に規定・記載されている事項の背景や補足等であるため、その違反が罰則の適用につながる場合もあることから、可能な限りこのQ&A に記載していることに添った対応をしていただくようお願いいたします。

万が一、本Q&A に記載しているとおりに運用した場合に不都合が起きる見込みが生じた際には、状況に応じて臨機応変に対応する必要があるため、直ちに農林水産省(動物衛生課)までご相談ください。

なお、現場での更なる疑問や発生事例の知見等を踏まえ、本Q&A は定期的に更新してまいりますので、本Q&A に記載のない疑問点等が生じた場合には、積極的に農林水産省(動物衛生課)に相談いただくよう、お願いいたします。

7-13 選択的殺処分の導入により、豚熱の発生農場内の全頭で殺処分する必要はなくなるが、一方で殺処分されずに残った豚が出荷されることにより、豚肉の安全性への影響はないのか。

これまでの数十例にわたる発生農場での感染状況の調査においてと畜場に出荷されるような日齢の豚等ではワクチン免疫が十分に成立しているため、農場内にウイルスが存在していたとしても、感染が成立していることは非常に稀であることが分かっています。

また、選択的殺処分の導入に当たり専門家との議論・検討において、適切なワクチン接種により免疫を獲得した症状のない豚等はまん延リスクにはならないとの結論が得られています。

加えて、発生農場から出荷される豚等については、農場段階やと畜前の段階で臨床上健康であることが一頭ずつ確認された豚のみがと畜されますので、豚熱に感染した豚の肉が市場に流通することはありません。

なお、豚熱は、豚及びイノシシの疾病であり、人に感染することはなく、ワクチンを接種したことにより、豚熱が人に感染したとする報告はありません。

こうしたことから、選択的殺処分を導入しても豚肉や豚肉製品の安全性に影響はありませんので、安心して豚肉や豚肉製品をお買い求めください。

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